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リアルなライオンに勝った話


私はライオンに勝ったことがあります。
あの百獣の王にです。

最近のニュースでは、人の街に猛獣が歩きます。

イタリアではライオンが歩き、中国ではトラが歩き、日本ではクマが歩きます。
街がサファリパークとなってます。


私は若い頃、富士サファリパークに行きまして、お客さん達で乗るバスのようなものに乗り、サファリパークの園内を周回します。
ライオンのエリアに入り、小さな窓口から肉片のエサをあげることが出来ます。
集まったライオンたちが、客がトングで与える肉をガブガブ食べて、お客さんたちはキャーキャー言いながら逃げ腰でエサを与え続けました。

私はいい機会なので、身を乗り出し、ジーッとライオンを観察してました。夢中に肉に向かっているライオンたち。その中で立派な鬣(たてがみ) を持つ雄ライオンが私の前を通りました。
身を乗り出し見る私に気づき、明らかに二度見するライオン。私は目をそらしません。
ライオンは野性の心にスイッチが入ったようで低く唸りながら私の顔を覗き込みます。私はひるみません。真近に見える、人の倍あるようなライオンの顔で視界いっぱいになります。

腹の奥底から大きく唸り吼えながら、「グヴァゴオ!」と窓口を乱暴に噛み切ろうと牙むき出して、壊れるかの勢いで暴れました。ツバが飛んできて、獣臭が濃い湿った息が私の顔にかかりました。猛獣の殺意に私は内心はビビりながら、全く身を引きません。

一瞬の大きな吼えと金属音で、車内が一気に私と雄ライオンに視線が注がれます。
人間だけでなく、ライオンたちも動きが止まり、私と雄ライオンを見ます。
雄ライオンも周りを気にしてなのか、一瞥して不満そうに私から離れました。私は、顔についたライオンのツバを拭きながら、檻に守られてるくせに「勝った」と内心で思いました。

イヤ本気で勝ったなんて思ってないですけどね。かなり前の事なのに、詳細に情景を覚えてます。やはり緊急時で心拍数が上がると記憶に残る構造になってますね。
私は幸いトラウマはないですが、フラッシュバックするとかってこういうことなのでしょう。
しかし良い機会でした。ライオンの怖い顔を肉眼で真近に見られるなんて、ペットの平時の顔でもないし、貴重な記憶です。


また別の若い頃の話。
今はあるかどうかわからない、ニホンザルの群れの中に入って直接エサをあげられる猿パークぽいところがよくありました。
ウサギやヤギに触れ合い動物園とは危険度が違うから、今はそんなスタイルは無いのかもしれません。
そこには入場の際、猿と目を合わせてはいけません、怪我しても責任は取れませんと、注意書きがデカデカとありました。
私は良い機会だからと、わざと猿と目が合うようにしました。
しかし、あちらから目をそらします。
猿はいくらでもいて、片っ端から目を合えせようとしますが、全てそらしてきます。
やはり相手をよく見てますね。女性や子供には威嚇してきますが、若い男にはトラブルを避けるのですね。


やはり動物とは何かで伝わってますね。
今となったら、雄ライオンの顔は覗きたくないなぁ、臭いし。
寿命を考えれば、あのライオンはもう死んでるんだろうなぁ。あの世で和解したいなぁ。


なんかクマの記事を書いてから、日本では異常なクマ騒動が発生してます。記事内の土饅頭の事態も起きてしまいました。
そんな現実創造は望んでないし、街でライオンに再会してリベンジされる現実なんて創造したくありません。


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