「公務員は辞めなくて良い」の、一番のデメリットの話
「つらいんで、しばらく休みます。」
Yさん(50代職員・副主幹)のデスクの上にあったメモ。
それは、国政選挙の1週間前のこと。
期日前投票、投開票の管理など、やらねばならないことが山積みである。
残された課員、兼務元の部門の人が必死で片づけ、事なきを得た。
その後、彼が戻ってきたのは、イベントの2か月後のことだった。
当然Yさんから謝罪の声はなかった・・・。
#3.「無敵のサボリーマン」
RYU@元公務員です。
地方公務員を15年もやっていたら、見えてくるものです。
「面倒な仕事から逃げても、大抵の場合はクビにならないこと」を・・・。
前回話した「残りの10%くらいの人」のはなし。
言わずと知れた、「サボリーマン型」公務員です。
正直、わたしは彼らの生き方が苦手です。
書いていて若干苦痛でした。
一方で、公務員が取れる選択肢でこのタイプの人も無視できません。
1 「サボリーマン型」の公務員の特徴
「公務員は、ロクに働かず給料は高い」
「9時5時で帰って土日は休み」
「自席で新聞を読んでふんぞり返っている」
かつては、このような誤解を生む公務員「像」を垂れ流し、関係ない職員の待遇まで悪化させ、支持率や視聴率を集めた方がいました。
(最近では、地方公務員の実態が伝わりつつありトーンダウン気味。)
正直、上のような極端な公務員は絶滅しています。
(ゼロとはいい難いが、民間との差は減ったと思います。)
一方で、サボリーマン型公務員は昔から一定数おり、駆除も困難です。
彼らは、
「出世もあきらめている」し、
「疎まれることもあまり気にしません」
その代わり、「自分のテリトリー(定例業務)を脅かすことは許さない」
サボリーマン型公務員にとって仕事の向き合い方は、
「やりたい業務(又は最低限の定例業務)以外はやらない」
というスタンスが特徴です。
2 彼らのやり口
普通に考えれば、仕事では、やりたいことだけやるわけにはいきません。
では、彼らがどうするか。
彼らはこれらのテリトリー外の業務を、
・無視する
・逃げる
・押し付ける
というような方法で回避します。
そう、サボリーマン型は「自分自身に仕事が来なければいい」のです。
こうしてサボリーマン型が1人いることで、2人の部門を実質1人で、というような事態が発生します。残された1名が潰れ、部門は実質崩壊していくのです。
3 「公務員はクビにならない」の一番のリスク
よくある業界外の方が語る公務員のメリットに「クビにならない」ことを挙げる方がいます。
確かに、実際に雇用の安定はメリットです。
一方で、職場(自治体)は「本来解雇すべき人を解雇できない」という、とても大きなリスクを持ちます。
「公務員はクビにならない」=「働かない人をクビにできない」
この雇用者にのしかかる「多少の怠業では解雇不能」という重い鎖が、21世紀の現在でも官公庁に存在します。
また、サボリーマン型公務員は、「定年まで滅多なことでは辞めない」方が殆どです。
彼らがサボり、残された真面目な方が残務を片付ける・・・。
やがて真面目に働く方が不公平感を持ち「辞める人」や、「サボリーマン型に転向する人」になります。
まさに悪化が良貨を駆逐。
こうして、サボリーマン型の濃度が上がっていき、緩やかに組織が弱っていきます。
4 「ノーミス型」公務員と「サボリーマン型」公務員の違い
前回紹介した「ノーミス型」と今回の「サボリーマン型」の違いも説明しておきます。事なかれという点では同じ2つのタイプ。
「ノーミス型」は、上司などが指示したときは忠実に行います。
上司の指示を守らないことも「ミス」のひとつです。
出世コースから外れることを彼らはわかっています。
一方で「サボリーマン型」は、上司が言っても従わないことがあります(表向きは従っても)。従ったふりをして他人に押し付けたり、時には失敗して、新たな仕事を受けません。
つまるところ「こいつに任せてはいけない」という印象を与えることで、自分のテリトリーを守るのです。
5 実は「壊れてしまった」方の行きつく先でもある
とはいえ、サボリーマン型公務員にも同情すべき方が少数います。
私が観た人は、元々優秀だった方で「バリバリ型」と言えるタイプ。
いわゆるエリートコースであり激務の県の市町村課にも出向し、将来を嘱望されていました。
ところが、ある部門の不条理に仕事配分やモンスタークレーマーの対応により「心を壊し、サボリーマン型に転向」しました。
これらは、比較的「クビにできる」民間では生じにくい話です。
心が壊れてしまった方の余生として、「サボリーマン型」公務員の生き方がある事実は否めません。
ただ、サボリーマン型の方が1~2名居る課は、急速に環境が悪化します。
特段の理由がなく働かない人を抱える負担と不公平感は、職場環境を悪化させます。
改めて考えてみてください。
公務員はクビにならない職場・・・、魅力的でしょうか?
わたしは、公務員という職場がユートピアでも何でもないと思う理由はここにあります。
実は、そんな「サボリーマン型」公務員になるコツもあります。
いずれもう少し掘り下げて書いていくことにします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?