病気になって考えた①~明日死ぬとしたら何をする?~

『病気になって考えた』シリーズは、23歳で脳腫瘍と診断され入院、手術を経験したボクが思ったことを忘れないように記しておくための企画です。

『明日死ぬかもしれないと思いながら生きなさい』

実際にそういっている本の名前を挙げろと言われたらできないけど、そんなようなことを言っている本や公演は山程あると感じる。それくらいボクはそのセリフを聞いてきたと思う。

『明日死ぬかもしれないと思う』というのはあくまでメタファーで、それくらい緊張感を持って生きなさいというメッセージである。しかし「明日死ぬ」では、少し現実離れし過ぎなんじゃないかとボクは思う。

例えばあなたが「明日死にます」とその日の朝に教えられたとする。もしそれが平日だったら仕事に行きますか?絶対に行かない。どれだけ好きな仕事をしていたとしても、人生最後の日であれば仕事なんて絶対行かないだろう。職場の嫌いな上司、同僚にビンタでもお見舞いしにいくのが普通だと思う。お世話になった人には『明日死にます。お世話になりました。』というくらいで、人生最後の日も一日中仕事をする人なんてまずいないだろう。

だからもしそのような本やセミナーを聞いた人が本当に『明日死ぬ』と思いながら行動していれば社会は崩壊するに違いない。サラ金で金を借りまくって好きなだけ豪遊して、そして次の日を迎える。次の日死ぬつもりで無責任に遊びまくったのに、次の日も生きている。死ぬつもりだったのに。そんな社会になりかねない。

じゃあどうすれば人生を充実させつつ、身を滅ぼすような過ごし方をせずに済むのか。ボクが考えた方法は『今年の大晦日に死ぬ自分と80歳で死ぬ自分を共存させる』方法だ。

今年の大晦日に死ぬ

明日死ぬだと突然過ぎて、やりたいことをする期間も足りない。仕事を辞めたり犯罪を犯したり、自暴自棄な人が続出する。だから丁度いいのは今年の大晦日に死ぬつもりで生きることだ。

大晦日に紅白歌合戦の結果発表と共に息絶える。赤が勝とうが白が勝とうが、その瞬間に人生が終わる。と考えるのだ。

今年の大晦日であれば、自暴自棄に好き放題することもできない。死ぬまでの数カ月間を刑務所の中で過ごすなんて死んでもいやだ。程よく計画的に、自分が今までやりたいと思っていたことをできるだけこなしていくことができるのではないか。

80歳に死ぬ

そして、80歳で死ぬ自分もいる。大病もせず健康的に生きて、日本人の平均寿命である80歳で死ぬ。そういう可能性もあるということを考えておくのだ。

そうすれば「今年死ぬから全財産使ってやろう」とか「仕事をやめてすきなことだけして過ごそう』という考えはしないで済む。そして80歳まであるから、死ぬまでにやりたいことリストを計画的に進めて行くことができるのではないか。

1:1の割合で2つの可能性を共存させる

自分の行動を考える時、常に「今年の大晦日に死ぬ自分」と「80歳で死ぬ自分」を、1:1の割合で大切にしてあげる。どちらを優先するということはない。どちら100%大事にしてあげるのだ。

この方法が一番現実的に、自分の好きな人生を送れるのではないか。とボクは考える。




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