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ベトナム統一鉄道に乗った(ダナン→フエ)

ベトナム統一鉄道に乗った。
ベトナム統一鉄道とは、南北に長いベトナムを結ぶ寝台列車で、「統一鉄道」という名前がなんだか社会主義の香りを匂わせている。

わたしはベトナムのダナンのホテルに泊まっており、ダナンから世界遺産の街フエに行くためにベトナム統一鉄道に乗った。

予約

はじめはベトナム統一鉄道の予約ページで予約しようと思ったのだが、わたしが予約したい席はベトナム銀行から発行されたクレジットカードがないと予約できないとのことで諦めた。

ベトナム統一鉄道の予約ページは、ベトナム語と英語で表示できる。しかし、英語表示を選択してもところどころベトナム語のままなので、一部勘で読み進めることになる。

駅はベトナム語で表示される

ベトナム統一鉄道には、便にもよるが、全部で4種類の座席がある。
ハードシート(木製の硬い座席)
ソフトシート(ソファー座席)
ハードベッド(薄いベッドマットの寝台)
ソフトベッド(厚いベッドマットの寝台)
便名にSEとつくものは寝台車両付き、HDとつくものは座席車両のみのらしい。

ハードベッドは一部屋に6ベッド入っており、ソフトベッドは一部屋に4ベッド入っている。

わたしはソフトシートを予約したかったのだが、前日に予約しようとくると売り切れていたので、ハードベッドを予約した。

白い席が予約可能な席。選択するとグリーンになる

画面右上のカートマークをタッチすると支払い画面に飛ぶ。
ここで、乗客の名前とパスポート番号を入力し、決済方向を選択…ときたところで、「ベトナム銀行から発行されたクレジットカードによるオンライン決済」または「駅カウンターでの支払い」が選択肢としては表示されるが、後者の現地決済がタッチできなくなっていた。

一番下の現地支払いのオプションが選択できない

ベトナム銀行から発行されたクレジットカードは持っていないのでダメ、なんかよくわからんが現地支払いもダメ、ということで困った。オンライン予約の道が断たれた。

あとから予約サイトをちょこちょこいじっていると、翌日と翌々日のチケットは現地支払いが不可能となるようだ。明々後日以降のチケットなら現地支払いが可能になった。オンライン予約したい人は3日前までに予約しよう。

オンライン予約の道が断たれたので、わたしはダナン駅のチケットカウンターで予約することにした。

ダナン駅
改札

改口の青いアオザイを着た駅員さんに聞くと、「明日のチケットは外のチケットオフィスで買える」とのことなので、駅の外に出て右のチケットオフィスに行く。

チケットオフィスで、乗客のパスポートを見せて、空いている座席を予約してもらう。チケットをもらうときに、「出発30分前に駅に来てね」と言われる。ともあれ予約できてよかった。

遅延、出発、停車

ネットの口コミではベトナム統一鉄道は遅延が少ない優秀な列車と聞いていたので、だから出発30分前集合なのかなーと思って30分前に駅に着いたら全然遅延していた。1時間。

10:00に駅に着いたのだが、改札の駅員さんにチケットを見せるなり、「1時間遅れているから、11:20に駅に来てくれたらいい」と言われる。突然1時間半暇になってしまった。

駅近くのオシャレなカフェに入る。

カフェの内装。熱帯な感じ
エッグコーヒー。プリンに近い味がする

ここで1時間半過ごし、11:20に再び駅へ。
今度は改札を入れてもらえた。
待合室の電光掲示板で、自分の乗る便のプラットフォームがわかる。

改札内の待合室

わたしが乗る前の便のプラットフォームが決まったようだ。この便も定刻は過ぎているのだが、「まもなく到着します」のアナウンスをずっとやっている。到着します到着します詐欺。

わたしが乗る列車がダナン駅についたのは、11:45くらいだったと思う。当初の定刻が10:30だったので、1時間15分の遅延だ。

駅員さんが待合室のドアを開けてくれて、ようやくプラットフォームに出る。

プラットフォームには売店が結構ある

車掌さんっぽい人にチケットを見せて、列車に乗る。チケットにはパスポート番号が書かれているので、パスポートも見せる必要があるのかと思って準備していたが、パスポートはいらなかった。

6台ベッド室なので、一つの部屋にベッドがぎっしり入っている感じで初見ではその狭さに驚くが、ベットに寝転んでしまえば案外普通に寝れる。
ベッドには枕と毛布がついている。

左右3段ベットが入ったハードベッドコンパートメント
枕と毛布

出発前、車掌さんっぽい人が「1号車(たぶんソフトベッド車両)に空きがあるから、追加料金でアップグレードできる」と話しかけてきた。ハードベッドでも3時間程度なら快適に過ごせそうだったので断る。
列車が動き始めたのは、たぶん乗ってから15分程度経ってからだと思う。

ダナンからフエまでは3時間弱、前半は何もないところで列車が何度も停止した。近くのコンパートメントで「何回停まるんじゃ!」と欧米系の観光客らしき人がキレていた。

途中で車内販売のおじさんとおばさんがやってきた。おじさんのほうはずっと歌を歌っていた。そういえばミーソン遺跡を案内してくれたガイドのおじさんも歩きながら歌っていたなと思い出す。その辺で歌うという行為がベトナムではメジャーなのかもしれない。車内販売でわたしは何も買わなかったが、カップ麺を買っている人が多かった。車両の両端に給湯器があるようで、カップ麺が作れるらしい。

トイレはほどほど。ホテルやモールのトイレのようにきれいではないが、まあ普通のトイレだ。水洗だし便座もある。紙がないので自分でティッシュなりなんなりを持っていく必要がある。
ちなみにベトナム統一鉄道は4人で乗ったのだが、このトイレを汚いと思うか思わないかで1:3に分かれた。
わたしはロシアやギリシャの「紙もなければ水もいまいち流れない、しかもなぜか便座もないトイレ」よりまともなトイレはすべて「きれいなトイレだ!」となってしまうバグを起こしているので、もちろんこのトイレは汚くない、むしろきれいなほうだと思った。トイレ周りの清潔感の受容度は人によるところが大きい。なぜロシアのトイレは便座がよくなくなっているんだろう。この世には便器の数だけ便座もあるはずなのにどこに行ってしまったんだろう…。

車内のトイレ。まあまあきれい

ところで、ベトナム統一鉄道は『世界の車窓から』に登場したことがある。ダナンからフエに向かう道のりの多くは東ベトナム海に面している。ベトナム鉄道の車窓からは、エメラルドグリーンの海が見える。
大半は海沿いを走っているのだが、たまに線路が内陸に入って車窓から町が見えることもある。線路の建物の距離が驚くほど近い。

車窓から見える海
線路沿いの建物

車両の廊下に椅子を置いて景色を見ている人が結構いた。コンパートメントは狭いからね。しかも上段のベッドからは窓が見えない。

廊下に椅子を置いて座るおじさん

到着

序盤は遅延するわ何度も停車するわで調子が出なかったベトナム統一鉄道だが、後半怒涛の追い上げを見せて予定時刻どおり3時間弱でフエ駅に到着した。序盤はハラハラしっぱなしだったが無事ついたのでよかった。

フエ駅

駅を出た瞬間、怒涛の客引きタクシーに遭う。名所をいくつか巡るタクシーツアーの客引きのようだったが、我々は3時間ちょっとしかフエにいられないのに対し、5時間のツアーであったため断る。恐らく英語があまり通じていないのでかなり食い下がってくる。

タクシーの客引きおじさんが言っていることがあまりにもわからないため、友達がGoogle翻訳を使ったところ、おじさんが言っているベトナム語を日本語に翻訳すると「人のふりをしたドリアンです」と出てきた。ベトナムにはそういう悪口でもあるのか??と思って帰国後知り合いのベトナム人に聞いたところ、爆笑しながら「そんな言い回しは存在しない」と言われた。誤訳だろう。

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