ユーモアについて

ユーモアは描写である、イメージである……

試みに風となった風博士とその同時にインフルエンザに犯された蛸博士についていえば、実際のところ人の心のうちにイメージをかき立てるではないか……それも鮮烈である。

だから、ユーモアは描写をその本質としているのである。

イメージなきユーモアなど想像してみよ、そんなものはどこにあるか。

私が小説の一場面を読んでいるとき、無心にもせせら笑ってしまう箇所がある。作者はそんなことは考えず、至って大マジメに書いてあるのであろうが、……私にとってはそこはかとなく面白く感じられるのである。

だから、ユーモアは人情そのものを表現するために、イメージを最大限活用しているのである。

実にユーモアとは荘厳のうちに笑いを含んでいるものである。……見よ、涙なきユーモアはかくも虚しいではないか。世間上ここまで虚しいものはおそらくないであろう。……

作者本人はあくまでも純粋に、現実じみた物語を書こうとしているのであろう、しかしそこには往々にして無心に笑いをかき立てる力がひそんでいるのである。

ナンセンスもやはりイメージを基礎にして笑うべきものとなるのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?