『文庫 生き物の死にざま (草思社文庫 い 5-2)』稲垣 栄洋
雑草生態学の専門家が描いた身近な生物の知られざる最期に係るベストセラー。
印象的なのは、多くの現代人のように自分自身の生き甲斐や幸せを求める姿ではなく、個体、つがい又は近縁集団が、子孫を残すことこそが生命の目的であるかのような行動を取り死にゆく姿だ。
子に身を捧ぐ母ハサミムシ、メスに食われながらも交尾をやめないオスカマキリ、メスに寄生し放精後はメスに吸収されるオスチョウチンアンコウ。
ニワトリ、ネズミ、イヌという人間の食用、実験用、愛玩用という目的で生命のあり方が規定されてしまった動物への視線も忘れていない。
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