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"飢えることのない国"フィジーのファーマーズマーケット事情

南太平洋に浮かぶ小さな島国・フィジーが、幸福度の高い国であるひとつの理由は、「誰も飢えることがないから」だと、言われています。

フィジーでは、田園地帯や離島部はもちろんのこと、たとえそれが街のど真ん中であっても、そこかしこで、たわわに実ったトロピカルフルーツの大樹を発見することができます。

あるとき、にぎりこぶし大の果実がぶらさがる巨木を前に、道ゆく女性に「これは何の木ですか?」と尋ねたところ、「マンゴーよ!」と、驚きの答えが返ってきました。

ご覧ください、こちらが、フィジーのマンゴーの木です。どーん。

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さまざまな品種のマンゴーが存在し、

熟れると皮が真っ赤に色づく、長径のもの(写真)から、

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フィジーマンゴーの原種に近いとされる、皮は緑で、果肉が熟れて黄色くなるものまで・・

あま~く熟れたものをフルーツとして食すだけでなく、熟す前の小さな実をマスタードオイルとシーズニングで和え、ピクルスとしてカレーに添えることも。

子どもたちは、学校帰りに、道端に転がっているものをかじったり、食事を待つ間のおやつとしてかじったり。すっかり日常に溶け込んでいます。

いずれも皮は固く、果実も繊維質で、いっぱい歯に挟まるのが玉にキズですが、味は、それはもう、抜群においしい!

宮崎のおみやげに買った4000円のマンゴーにも負けず劣らず、太陽のパワーをぎゅっと詰め込んだような、エネルギッシュな味がします。

地元の街 Lautoka(ラウトカ) にあるファーマーズマーケットで、いつも真っ赤に熟れたマンゴーを並べているおばあちゃんがいました。

大きいのはひとつ1ドル、小さめのものはみっつで2ドルです。※1フィジードル=約50円

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さてここから、フィジーの「ファーマーズマーケット」を、ご紹介していきましょう!

人口1万人程度の大きな街(City or Town)には必ず、街の中心部にバスターミナルとファーマーズマーケットが隣り合って開かれています。

マーケットは、アーケード状になった屋内のスペースと、テントが張り巡らされた屋外のマーケット部分に分かれていて、場内のスペースはこんな感じ。
※写真は、首都 Suva (スバ) のマーケット。Lautokaには、営業時間17時までで閉館となる旧館と、売り手がいる限り遅くまで開いている新館の、ふたつの建物がありました)

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場外のスペースは、地面に引かれたラインで区切られており、銘々にビニルシートを広げて売り場をつくります。

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日本の公設市場とは異なり、フィジーのマーケットは、庶民のデイリーな買い物の場です。1日の仕事帰りに、マーケットで食材を調達し、バスターミナルから帰路につく、というのが、フィジー人のルーティン。


先ほどの「マンゴーおばあちゃん」のように、屋外に座っているのは、いわゆる農家、Farmer です。自分の畑や庭でとれたものを持って、郊外の村や、遠くの離島からやってきます。

場外のマーケットが活気づくのは、多くの人が帰路につく平日16~18時ごろと、土曜日の日中。遠くからやってきて、木曜~土曜日までの3日間だけマーケットに座って売りきる、そういうスタイルの Farmer もいて、賢い主婦たちは、土曜日の夕方ごろの値下げタイムを狙っています。

場内の机スペースをもっているのは、Middle Man といって、いわゆる「仲買人」たち。農家から、コンテナひとつ分の野菜やフルーツを、およそ50~60ドルで買い付け、小皿に分けて販売しています。1日のもうけが200~300ドルになる日もあれば、天気が悪く客足が遠のけば、仕入れより売り上げが下回ることもあるそうです。

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新鮮な野菜やトロピカルフルーツが、どっさり山盛りで、どれも数ドル(100~200円前後)程度で買える、ファーマーズマーケットは、まさに庶民の味方!宗教上の理由からベジタリアンも多いフィジー(そして、みんなほとんど外食をしない)では、野菜とフルーツが、日々の食卓の中心であり、いろどりです。

貧富の差が大きいフィジー。街のスーパーマーケットでは、富裕層向けの商品と、低所得者向けの商品が、はっきりと区別されて売られています。

そんな中、ファーマーズマーケットは、「野菜の前には、みんな平等!」という空気感が感じられ、私はそれがとても好きでした。(但し、富裕層はあまりファーマーズマーケットを利用しません。「ケミカルな薬品を使ったものもあるから」避けているのだそう…)

あまりに居心地がよくて、フィジー留学の最後の1か月は、放課後のほとんどをファーマーズマーケットで過ごしていたほどです…。

私が、日本人で、あきらかに自炊はしていなさそうな様子なのに、「キャッサバ!キャッサバ!」と、オオモノを売り込んでくる、商売っ気のない、素朴な雰囲気も好き。

無理に買わせようとするような、しつこい売り込みもほとんどありません。観光客だからと足元を見て、値段をふっかけてくるようなこともありません。

もしフィジーを訪れることがあれば、土曜日のファーマーズマーケットに足を運ばれることを強くおすすめします!そして、「あれは何?これはどうやって食べるの?」と、いろいろ聞いてみてください。買わなくても、みんな親切に教えてくれます。


マンゴーにばかり紙幅を割いてしまったので、最後に、私のお気に入りをいくつか。

マンゴーの季節がくるまでは、ほぼ毎日、パパイヤ(現地語で「ポポ」)を食べていました。勢いよく育ちすぎて、ラグビーのボールぐらいの大きさになったものも。

ポポ 1皿5ドル(250円)↓

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こちらは、チェスナッツ。「栗」です。フィジーの栗は、切り餅ぐらいの大きさがあります。

ゆでチェスナッツ 1袋3ドル(150円)↓

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これは日本と同じですね。カットしたパイナップルやスイカを食べ歩きできるようになっています。違うのは、パイナップルに、たっぷりのチリペッパーをふりかけて、真っ赤にして食すところ…。

ウォーターメロン 1つ50セント(25円)↓

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以上、知られざる(?)フィジーのファーマーズマーケット事情をお届けしました。またぜひ訪れたいと思っています!

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