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ちょっといい音で配信や歌ってみたを - 高コスパなオーディオインターフェイス

オーディオインターフェイスは、DTMや配信においてもはや必須ともいえる機材です。

空前の配信ブームが訪れ、オーディオインターフェイスがプロと一部の音楽マニアのものだった時代は終わり、コロナ禍によるオンライン通話需要も相まって、低価格帯(1〜3万円前後)のオーディオインターフェイスは生き馬の目を抜く超激戦区です。
これまでAIFをコツコツ作っていたデジタルオーディオ機器メーカーに加え、PCパーツメーカー等も参戦しちまたにはおすすめリストやランキングが溢れかえっています。

PCで音楽を作る、なんていうと最近のもののように思いますが、AIFの歴史は意外と古いです。
個人的には家電量販店に並ぶPCメーカー製のものより、何十年と開発が進められてきたスタジオ機器メーカーのもののほうが、価格、音質、使い勝手どれを取っても上手だと思っています。
AIFを実店舗で見たい、買いたいという人は電気屋さんではなく楽器屋さんに行きましょう。
大手チェーンを含め、ギターやベース等バンド楽器を扱っている店は殆どDTM機器の扱いがあります。
配信で使うインターフェイスを探してて、、と尋ねるときっと丁寧に教えてくれるでしょう。

ネットで調べるとおすすめランキング等山のように出てくるので、ここでは私がおすすめするものを一つだけ詳しく書きます。

因みに想定は「マイク一本だけを使って配信、録音、歌ってみた等を行う。リスニング環境はヘッドホンorイヤホン、スピーカーは1セット以下」の人です。


Audient iD4mk2 / iD14mk2
先程も書いたとおり、現在2万前後のA/IFは超激戦区で、各社色々と特色を打ち出してきています。
例えばPreSonusは有料版DAWがそのまま付いてきたり、ZOOMは超低レイテンシが可能だったり、、
もしこれが使いたい!という機能があれば、そういう方面から絞り込んでいくのもありですね。

私はメインのIFとして、AntekopeのZenQ synergy coreを使っているのですが、この子はTB3接続のみでUSBがありません。
Discordや一部ソフトでは認識しないことも多く、お手頃で音質の良いものを探してこの子を選びました。

スタジオ向けコンソールメーカーであるAudientが出すiD4 / iD14mk2ですが、両者の違いは主に入出力の数です。iD14になると2in2outのアナログ入出力に、デジタル入力にも対応するので拡張性は大きいです。ですがハード機材を多数繋いでシステムを組んでいける人はこんなところ見ないと思うので、先に書いた想定通り、マイク一本で配信やりたいという方はiD4mk2で十分です。

オーディオインターフェイスの音質を考える際に、ざっくりとでいいのでIFの行っている仕事について考える必要があります。

マイクを使った入力ですが、まずAIFに接続されたマイクの信号はマイクプリアンプという、マイクの微弱な信号をライン信号レベルまで持ち上げる増幅機にかかります。その後ADC(アナログ→デジタルへ変換するもの)チップを通りUSB等ケーブルでPCに送られます。
出力はDAC(デジタル→アナログへ変換するもの)チップを通り、ライン出力へ。ヘッドホン等の出力端子ではヘッドホンアンプを経由し出力されます。
電源等非線形な反応を示す部分も影響はしてくるのですが、一旦込み入った話は割愛します。

AIFの音質において重要なのはマイクプリ、アナログ回路、ADチップ と DAチップ、ヘッドホンアンプ回路 というふうにざっくりみれます。
あくまでざっくりです。
こいつのマイクプリはディスクリート、つまりアナログで組んであります。
チップじゃなくてディスクリートだから音が良いんだ!とは限らないですが、技術者がより製品に適した設計を出来ることで、メーカーとしては力を入れているということにもなります。
ヘッドホン出力については、ヘッドホンアンプで結構音が変わってきます。


というわけでiD4mk2の話です。

最近流行りのデスクトップタイプ

まずは外観から

結構コンパクトなサイズですが、しっかりしたアルミ筐体で大きめのノブが3つついています。
コントロール類は最小限で、大きなボリュームノブは軽くカタカタとクリックのある感触で非常に回しやすく調整がしやすいです。
この価格帯はレベルメーターが色が変わるLED1つみたいなパターンも多いので、そのあたりも管理しやすくよく考えられています。
マイクとDIの入力ゲインのノブは少し重めのトルクで、手などが当たってもセッティングが変わりにくい作りになっています。

前面にはギターのマークが書いてあるDI入力(いわゆるinst入力です)と3.5mm,6.25mmの2つのヘッドホン/イヤホン出力があります。

背面にはXLR/TSのコンボジャック、ここにマイクを繋ぎます。
ちなみにXLRがレフト、DIがライト側入力になります。通常のハーフラック2inの片側が後ろに来たような感じですね。
ただしマイクプリは1つ。ここがマイク一本までという所以です。
最近はマイクプリを1chに絞って、低価格と高音質を両立させようという製品も増えてきました。
メインのTS出力があり、スピーカーやアンプ等に繋げます。
コンデンサマイクを接続したときに使うファンタム電源のボタンもここについています。
USBタイプC-Cのケーブルが付属しており、TypeA-cでも動くのですが、C-Cで接続することでモードが切り替わり、より増加したバスパワー電力でACアダプタがなくともファンタム電源と高出力のヘッドホンアンプを駆動することができています。


マイク一本、ヘッドホン一つ。ミニマムな配信環境には十分です。
テーブルの上に置いてぱっと手を伸ばして操作できます。
ボリュームノブを押し込むと音量が半分になったり、スピーカーの音を0にできるボタンがついてたりします。
iDボタンは押すとボリュームノブがマウスホイールになります。配信用途ではあまり使わないかな。自分で設定も出来るみたいです。


DA-ADは24bit/96kHzで、192kHzに対応してないのは、メーカーの意図的なものだそうです。
個人的には必要十分です。192kHzで作業することもないですしね。
人によっては気になる部分かもしれません。

音質について
一番肝心な部分です。
公表はされてないですが、開けてみるとAD,DAチップはシーラスのかなりいいやつが乗っています。もちろんチップだけで音が決まるわけではないですが、ここがだめだとボトルネックになってしまうので大事な部分です。
ライン出力はこの値段で出る音ではないです。でも最近の音質重視なAIFはみんなこのくらい頑張ってたりはします。
一度低価格DACの革命児、iFi audioのZEN DACと比較したことがありましたが、個人的にはこちらのほうが好きでした。

マイク入力
こいつのマイク入力の音を一言で表すなら、「普通に良い」です。
録り音はクリアで、別段厚みがあるとかではないですが、この価格帯なら文句のつけようが無いです。
SSLやSteinbergのように別段のアナログ回路やDSPで、より良く聞かせるタイプの物はありますが、自分で判断ができないなら"普通にクリアに"とることは大事かなとも思います。
2万円台のIFの中なら間違いなく上位に入るでしょう。
未だに配信者さん達に人気なYAMAHAのAGシリーズとか、ああいう古いIFとかからの乗り換えなら、十分良くなったと感じられると思います。(AGはmk2が出ましたね、どのくらい良くなったのでしょう)


ライン/ヘッドホン出力
こいつの一番の武器です。出力の音がとにかく良いです。
特にこの価格帯でここまでヘッドホンの音が良いIFはないと思います。
安くても解像度がそこそこ高いIFやDACはありますが、レンジ感が非常に広く、音楽の奥行きが非常によく感じられます。出力もそれなりに高く、能率が低めのヘッドホンでも大抵は鳴らすことができます。
これと4,5万あたりのヘッドホンがあれば、オーディオ入門としても申し分ない音質が得られると思います。
ただ若干クロスフィードの入るような鳴り方がします。これをより自然に聞こえるととるか、セパレーションが悪いと取るかは人それぞれかなと思います。


付属のバンドルソフト
バンドルソフトは詳しくは忘れてしまいましたが、DAWのCubaseLEやソフトシンセがついていたと思います。
DTMをしなければ正直あまり関係ないです。
歌ってみたの録音には付属のCubaseや無料で使えるStudio One Prime等を使うといいでしょう。
S1のPrimeは外部VSTや32bit Floatが使えないのですが、歌の録音だけでミックスは誰かにお願い、というスタイルであれば全く問題ありません。

付属のミキサーソフトは非常にシンプルで、簡単な操作でループバックができ、配信にも十分に対応できます。


個人的には出力、それもヘッドホンの音が良いというのがいいと感じたところで、やはり音の良し悪しを判断するには最低限それなりの音質で聴ける環境が必要だと思っています。
そして配信や歌い手さん方はしっかりしたスピーカーを置くより、ヘッドホンやイヤホン中心の方が多いと思います。
普段PCで音楽を聞いたりなども、MBオンボードより高音質になって損をすることはないでしょう。

あまり複雑なことはできませんが、機能・操作性は必要十分、音質は同価格帯でもかなり良い質実剛健な製品です。



LLSY music
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