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いまさら聞けない配信音声処理 -ゲート編-

皆様ごきげんよう、LLSY music & V ch.のレーシーです。
以前お友達のVtuberさんが「声の頭やお尻が切れてしまう」という現象に悩まされていました。ゲートプラグインがノイズ処理には有効、ということで導入してる方は多いと思いますが、ゲートはコンプレッサーと同じく入ってきた音の大きさに対して設定をしないといけないので「ここの数値をいくつに設定!」みたいなTipsは残念ながら通用しません。
今回は配信における音声のシリーズ。世界一簡単なゲートの設定方法です。

まずはフリープラグインのゲートを入手しましょう。
OBS公式対応を謳う日本のプラグインベンダー、Dotec AudioのサイトにFreeとなっているDEEGATEがあります。

国産プラグインベンダーは珍しいです

というのは後述しますが、ゲートはコンプレッサーなどと同じでメーターがないと非常にわかりにくく、OBS標準のゲートやコンプレッサーにはメーターが備わっていません。

シンプル

DEEGATEを立ち上げてみました。1ヵ所しか触るところがありません。非常にシンプルです。
まずはマイクやプリアンプ/オーディオインターフェイスのゲインをいつも通りに設定します。
この時DEEGATEの位置は一番先頭にしておきましょう。
そうするとメーターが下の方からぴょこぴょこと反応します。
右のつまみをメーターが反応しなくなるギリギリのところまで持ち上げるだけです。

かんたん!

これだとあまりにもお粗末ですのでもう少し深掘りしようと思います。
難しいことはわからないからやり方だけ教えてくれという方はここまでで大丈夫です。
繰り返しますが大事な部分は「必ずインターフェイス(マイクプリ)のゲインは実際に使用するときの値にする」と「ゲートは極力先頭(少なくともコンプレッサーの前)に入れよう」ということです。
実際には部屋の音(エアコンとかその他もろもろ)はいつも一定というわけじゃないでしょうし、OBSを立ち上げたら毎回設定しなおしてもいいのかなとは思います。

ちょっとだけ詳しい話

ここからは少しゲートとは何ぞやというところに踏み込んでいきます。
少し大仰な前置きになりましたが実際はそんな難しいものではありません。
一言でいえば、指定した音量よりも音が小さくなった時音をカットするものです。

先ほどのDEEGATEはつまみが一つだけの非常にシンプルなものでした。
ここではまず一般的なゲートプラグインのパラメータを見ていきましょう。

何やらコンプレッサーを見た時と同じような見た目をしています。
コンプレッサーでも同様でしたがゲートで一番重要なパラメータとなるのがスレッショルド- Threshould (閾値)です。
コンプではこれを上回った音に対してかかっていましたが、ゲートはスレッショルドを下回ったときに効果を発揮します。

一定の音量以下がスパッと切れているのがわかります

アタックとリリースは音がスレッショルドを下回ってからエフェクトがかかり始める時間、上回ってからエフェクトが解除されるまでの時間です。
つまり冒頭に話したような「声のしゃべり出しや語尾が切れてしまう」という現象はスレッショルドの設定が高すぎたり、リリースの値が長すぎることで起きる可能性があります。

ミキサーのチャンネルストリップにもゲートは乗っていることが多いです。USB接続ができるミキサーなどでやっている方は一度HAの後ろを見てみましょう。

先ほどゲートの設定は、必ずオーディオインターフェイスのゲインを普段使用する値にまで上げてからやりましょうと言いましたが、ここまで読んだ方であればその理由は十分理解できるでしょう。
Threshouldが高すぎればしゃべり始め、しゃべり終わりで音量が小さくなった時に途中で切れてしまいます。
マイクをはじめオーディオインターフェイスやマイクプリアンプなど機器には必ずセルフノイズという、どうしても発生してしまうノイズというものがあります。(仕様にはシグナルノイズ = S/Nという名前で書かれることも多いです)
そして使用するにあたってPCや電源から混入する、外来ノイズも存在します。
あとは多くの方が悩むであろう環境音なんかもノイズとして数えられることが多いです。
ですので個人的には、今日も配信をするぞと環境を作って声を入れてみて、、とほかの設定が固まった最後に設定するのがいいかなと思っています。また当然ですが、配信においてゲートは何もしゃべってないときの音をカットするだけのものなのでしゃべっているとき声の裏に乗っているノイズ類はそのままでてきます。
最近はニューラルネットワークを用いたAIノイズキャンセリングのプラグインもたくさん登場してきているので併用していくのがよさそうです。

ちなみにスレッショルドを下回った音をカットするのがゲート、コンプのようにレシオを設定して小さくするのがエキスパンダ、コンプレッサーに同様の機能が乗っているときはダウンワード、ダウンワードコンプなどと呼ばれます。
音楽制作時には特にドラムやパーカッション系のディケイを調整したり、リバーブにかけて印象的な音を作ったり(80年代に流行ったというゲートリバーブ)ギターのミュートをクリアに仕上げたりと積極的な音作りに使うことも多いです。

配信においてはそういった音作りで使うことはないので、これでノイズがきれいさっぱり消えるんだ!ということではなくおまじない程度に考えて使いましょう。

私のnoteではボカロPがVtuberをやってみてたどり着いた音声設定について、全体の流れを解説していく記事を書いています。

ボカロP・VTuberによる配信音声のつくりかた|れー (note.com)

この記事を中心とし、各記事に飛んでいけるように執筆中です。
こういうことも聞いてみたいな、という話題があればコメントやXなどでお気軽にご連絡ください。

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