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配信とかに使えるかもしれない無料VSTプラグイン紹介

最近個人Vtuberの方の配信を見るようになりました。
個人で活動してる方を中心に見ているのですが、多少お金はかかるとしても、大人の趣味としては十分に安価な額でこれだけの事ができるとなると非常に驚かされます。
そして想像以上に沢山の方々が配信を行っていることに驚きました。

素敵なデザインの枠にきれいな配信画面が乗り、すごいなと驚かされる一方、音声、特に声の処理に苦労してる方を多く目にします。
音声処理の基礎の敷居的なものは、確かに少し高い気がしますが、配信ソフトOBSではVSTプラグインに対応しておりますので、簡単に音声の質を上げれるような無料のプラグインと、使用例を紹介してみようと思います。
基礎処理をやった上で、、という具合に考えておいてください。


たぶん気が向いたらどんどん加筆していきます。

※2021年の記事で古くなってる割にインプレッションがあるので大幅に加筆、修正しました。
記事を公開してから3年、私もなんとVTuberデビューしてしまいました。
実際に配信をしてみて音楽とは勝手の違う難しいところにも遭遇したのでその辺も含めて大幅に書き直していこうと思います。


PCで音楽制作がなされるようになり、マシンパワーの増大に伴って、それまでハードの機材を繋げていたエフェクターが、PCソフトとしてリリースされるようになりました。
DAWと呼ばれる作曲ソフト上で、ソフトのエフェクターを扱う際の規格のひとつとして生まれたのがVSTです。
例えばここを見ている多くの方がオーディオインターフェイスを持っていると思いますが、大半のオーディオインターフェイスにはDAWソフトの簡易版が付属しています。
DAWソフトにはそこのプラグインエフェクトが付属していますが、ほとんどの場合VSTなのでOBS等VSTに対応しているソフトであれば基本的にどれでも利用することができます。

特別枠

Waves - Studio Rack

世界初の市販プラグインメーカーでありもはや業界標準という言葉を使うのもはばかられるほどあるのが当たり前なwaves。
そんなwavesがOBS公式対応をうたってV14でStudio Rackのアップデートをしたのも今は昔

こちらの記事でも紹介しました。
OBSは基本VST2までの対応でかつ個別のプラグインによって読み込む読み込まないなどの"当たり外れ"がありますが、Studio Rackを使うことですべてのメーカーのVST3プラグインが一括でできるようになります。
パラレルやマクロもお手の物。waves central経由なので非ユーザーは登録等若干面倒ですが、StudioRack自体はwaves製品を持っていなくても使えるので正直ほぼ必須レベルかなと思っています。

一つですべてそろうバンドル系

KILOHEARTS - ESSENTIALS

Future bassやTrap制作者ならよくご存じなソフトシンセPhase Plantをリリースしているキロヘルツ
Essential Effectはすべて無料で手に入れることができます。

使い勝手の良いプラグインがまとめて手に入るのでとても便利です。
配信で使いたいのはDynamics(コンプ)とゲート、あとは歌枠とかでリバーブでしょうか。
簡素なUIですが使いやすいし、コンプはアップ・ダウンワードもできるのでエキスパンダとしても使えるので詳しい方は設定を詰めることもできます。

Meldaprodaction

アナライザを始め有償版で高い評価を受けるMeldaproductionですが、無償プラグインも多く展開しています。
EQやコンプなど基本的なエフェクトから、バンドパスフィルタ オートパン ピッチシフター コンボリューションリバーブまでかなり幅広いプラグインが無料で揃います。一括で導入できるので、とりあえず入れておいて損はないでしょう。DAW付属のプラグインだと届かない、かゆいところがかけるものが多いです。

ゲート類

指定した値(Threshould)を下回った値をカットするプラグインです。無音時のノイズ等を抑えるときに使います。
掛けすぎると声も消えてしまうのでメーターを見ながら調整したいのですが、OBS標準のものはメーターがなくたいへん使いにくいのでプラグインでやっていきたいところですね。

DOTEC-Audio  DeeGate

一時期ネット上でもよく見かけた日本のプラグインメーカーです。
OBS上での正式対応を謳ったVSTプラグインとしてはかなり早い頃から出ていた気がします。
UIが個性的ですが配信に便利な複合プラグインもたくさん出しています。
Gateのフリープラグインはあるようでないようなというか、ここまでシンプルに操作できるものは多くないと思います。
使い方は非常に簡単。声を出してない状態でメーターが振れないところまで右のフェーダーを上げるだけです。
マイクに声を入れたとききちんとメーターが振れるよう上げすぎないようにしましょう。
喋っていない時にノイズが出てしまって気になる、、という方、OBS純正のゲートはメーターがなくて非常に操作しにくいのでこちらでやりましょう。

KILOHEARTS - Gate

独特なパラメータが並ぶ

上で紹介したキロヘルツのGateです。ちょっと変わったパラメータも多いですが何が起こっているのか見やすく扱いやすいです。
マウスをオーバーレイすることで説明が表示されます。

コンプレッサー

指定した値(Thresould)を超えた音量を、指定した比率(Ratio)ぶん圧縮するものです。しっかり大きく明瞭な音を乗せるためには必須のものです。

こまかいことについては以前書いた記事で紹介しています。

KILOHEARTS - Dynamics

再びキロヘルツです。アップ・ダウンワードとしてつかえるフリーのコンプはそう多くありません。

Meldaproduction - MCompressor

Meldaproductionのフリーバンドルに入っているコンプ。
一般的なコンプレッサーパラメータ、大きく見やすいメーター、文句のつけようがありません。

Audio Damage - Rough Rider

シンプルかつ見やすいUIで非常に扱いやすいコンプです。しっかりつぶして太い音にしつつも自然な感じを維持しながら扱えます。

イコライザ系

EQはおそらく皆さん一番なじみ深い種類のプラグインかもしれません。
低音の量感はマイクとの距離感でもかなり変わります。

iZotope - Ozone EQ

名前の通りOzoneからEQ部分だけを取り出したものがフリーで配布されるようになりました。
圧倒的な見やすさと豊富なカーブ、ゲインマッチのような便利機能からメータータイプの切り替え、選択中のポイントをソロで聞いたりと世のフリープラグインとはUIも機能も圧倒的な差を感じます。真っ先に入れておいていいと思います。

Tokyo Dawn Labs - Nova

フリーEQといえばこれ!ってくらい超々定番すぎてもう語ることは何もありません。アナライザもあって特に気になるポイントをピンポイントに削っていく用途に向いています。
ダイナミックEQもあるのでディエッサー的に使うことも可能です。
MIXノブもあってパラレルも可能です(EQでは使わないかな、、?)
4バンドですがHPF、LPFは別であるので実質6バンドです。

Tokyo Dawn Labs - SlickEQ

同じくTDRのフリープラグイン。3バンドのアナログライクなEQです。
ざっくり耳で聞きながら音を作りやすいですが、Pultec系と違ってMidも触れます。

ピッチ補正・ケロケロ系

AUBURN SOUNDS - GRAILLON

Auto tuneやwaves tune realtimeのようなリアルタイム処理型のピッチ補正ソフトです。
ピッチ補正は無料と思えないレベルでUIも非常に見やすく設定しやすいです。
Referenceノブでキー、下の鍵盤みたいなところでスケールの指定ができますが、その上の3つのノブを弄るだけでも十分です。一番左のEnableで効き具合、Smoothでアタックとリリースタイム(?)、Snap Rangeでピッチの移動範囲を指定できます。
歌枠なんかのときにこっそり掛けておくといいかもしれません。あまり強くかけすぎると破綻するので、リスナーに気づかれないよううっすら掛けときましょう。
左下のピッチとフォルマントをイジることでボイスチェンジャーのようにも使えます。
ピッチ補正の利きは非常になめらかです。

Meldaproduction - MAutopitch

個人的にケロケロボイスに向いたフリープラグインといえばこれです。
フォルマントも触れます。Depthを0にしてフォルマントだけを触ったり、WIDTHというパラメータでセンタリングを解消できたりと結構小技も効きます。

リバーブ系

Cymatic - Space Lite

品良いサンプルパックをたくさんリリースしているCymaticがフリーで出しているリバーブプラグインです。
かなりきれいめのリバーブで雑にかけても上品に仕上がります。

TAL - REVERB 4

昔から定番のフリープラグインです。TAL NoiseMakerは名機
リバーブです。今はアップデートでUIが変わっているようです。
音の反響音を付加する空間系エフェクトです。ディレイと引っ括めてエコーと呼ぶ人もいますけど、エコーと言うとテープエコーというエフェクトが思い浮かぶのでリバーブです、があんまり言うと厄介なオタクになりかねないので好きに呼びましょう。

u-he - Proverb

一番音のいいVAシンセは?とかいう不毛な質問に必ずNo.1として君臨するのがu-he
代理店のディリゲントが「u-heはユーヘーでもウーヒーでもなく『ユーヒー』と読みますよ」という名前の連載をしていますがフリーのプラグインもあったりします。
"音の良さ"がしっかり感じられるリバーブです。

Valhalla Supermassive

無料リバーブとなると必ず名前が上がるリバーブで、ネット上では絶大な支持を受けています。
かなり評判が良くてネットレビューではショートリバーブとして使おう!みたいな記事が氾濫していますが、普通のリバーブを想像するとちょっと使いにくさを感じるかもしれません。
リバーブとショートディレイの間みたいなちょっと不思議な感じで、密度の濃い纏わりつくような、かなりこってりした音になります。どちらかというとギターとかで使いたくなるリバーブです。
別のロングリバーブと組み合わせるのが前提みたいな感じもあるので触ってみて合わないなと思ったら無理に使う必要もないかもしれません。

AUBURN SOUNDS - PANAGEMENT2

いわゆるステレオイメージャーで、左上のワイドというところを回していくことで外側に近い高音が強調されステレオ感が強調されるというものですが、リバーブも搭載されており音源の位置を移動させることで、聞き手との位置関係を奥行きを含めて簡単に表現することができます
コラボなどでお互いの位置関係を変更したい時など、パンナーとリバーブで調整するよりこういったもので調整するほうが楽かもしれません。

リミッター系

指定した音量を超えないようにするプラグイン。原理的にはレシオが∞のコンプということですが、音圧を稼げるように歪感や掛かりがクリーンになるようにしてあるものも多いです。

George Yohng's W1 limiter

デジタル音楽において音量は0dbFsを超えてはいけないという鉄の掟があります。絶叫が売りの配信者は音割れ王子の称号をもらう前にこのプラグインを指しておきましょう。非常にクリアな絶叫をリスナーに届けることができます。
保険としてかけて置く場合パラメータはとくに触らずCeilingを-1.0にしておくくらいで大丈夫です。
リアルタイムだと先読みができないので瞬間的なピークは越える可能性がありますが、再生環境のDA段やディザでのクリッピングを防げるはずです。
スレッショルドを下げると音がぱつんぱつんになっていき、全体的な音量を稼ぐことができます。

Kilohearts Limiter

シンプルイズベスト。

ノイズ除去系

Blue Denoiser

Blueは過去に有償プラグインを開発するベンダーでしたが、今は開発も全て止まり、過去に販売したプラグインを無償で配布しています。
Denoiserは位相反転型のノイズ除去プラグインです。
再生しながらLearnを押して、もう一度押すとノイズを消してくれます。
かなり使い勝手は良いですが、izotopeのRXが定期的にセール価格で手に入るので、そっちを持ってるという方は多いかもしれません。
RXを持ってない方はまずこれを使ってみて、色々設定したいなとなったらizotopeのセールを待つのが吉です。
※2024年現在本家サイト自体が消滅してしまっており、別で配布をしているサイトからの入手のみとなります。

便利系ツール

ISOL8

5バンドのFrequency Monitorというもの。
自由に設定できる5つの帯域について、それぞれミュートやソロができます。
EQとかで〜Hzとかいうけど実際どんな音が鳴ってるのか分からない、、ということは多いと思います。
これを使えば簡単に、任意の周波数帯の音だけを聴くことができます。
耳に刺さる音や、EQのポイントを探るのに非常に有用です。



世の中には星の数ほど無料プラグインが出回っており、有料のものが期間限定で無料で手に入ったりすることもあります。
興味がある方はDTM関係の情報サイトに網を張っておくのもいいでしょう。

また今回は比較的操作が分かりやすい、という基準で選んだので、若干導入が面倒だったり煩雑なものは省いています。

最近はSonnoxやizotopeのVEAなどナレーションに特化した有料で非常に扱いやすいものも増えてきていますが、極力お金をかけたくない、自分でいろいろ設定してみたいという方は上記のものをダウンロードして色々触ってみるといいかもしれません。


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