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それぞれ「俺が勝つ!」という気持ちで全力でレースと向き合う大会そのものの熱を感じる、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2

舞台『弱虫ペダル』が10周年を迎える2022年7月にお目見えした、新シリーズ、舞台『弱虫ペダル』The Cadence!。この公演が初舞台となる島村龍乃介が、総北高校に通いはじめたばかりの孤独なオタク少年である小野田坂道を演じ、その初々しくも熱い芝居が話題をさらった。2023年8月にはインターハイ初日を描く、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 1公演で、チームとしての強さを見せた総北高校自転車競技部の面々。きたる3月にはインターハイ2日目を描く、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2公演が控えるなか、坂道役の島村をはじめ、鳴子章吉役の北乃颯希、そして田所迅役の滝川広大に話を聞いた。

■全員で一つにならなければ、と深まったチームの絆

——2023年「THE DAY 1」以来の舞台『弱虫ペダル』ですが、今、思い出すと「THE DAY 1」公演はどんな時間でしたか?
 
島村龍乃介 部活でした。その感覚をより強く味わえた「THE DAY 1」でした。役者が全員男性ということもあって、前作の「The Cadence!」でも「部活みたいだなぁ」とは思っていたのですが、「THE DAY 1」では「よし!頑張ろう!」という気概や結束力を感じ、チームとして前作以上に一致団結できたことから部活感覚がより一層高まった印象です。
 
——その部活感覚で一番印象的だったのはどんなところですか?
 
島村 各々が「俺が勝つ!」って思いながら高め合う感じがあったんです。それぞれがライバル意識を持っていましたし、芝居ではありますが戦っている感覚があって、すごく楽しいな、という想いがありました。
 
——北乃さんはいかがですか?
 
北乃颯希 「The Cadence!」は個々としての姿を見せるという意味合いが大きかったと思うのですが、「THE DAY 1」になって、初めてチームとしてみんなで一つの道をレースで走れるということで、チーム感のなかでお互いを高め合っていけたのかなと感じます。
 
——稽古の現場の変化はありましたか?
 
北乃 やっぱりチームで話すことが多くなりました。「The Cadence!」のときは個々で、自分の課題に向かっていっていましたし、自分の芝居の動画を見て修正を重ねていくような作り方だったのですが、チームでいることによって、みんなで話し合いをする時間が増えました。部長である(金城真護役の川﨑)優作くんが率先して、グループLINEで連絡を取り合ってくれることもありました。本物の自転車レース、ツール・ド・フランスの動画を送ってくれて「何秒のところの映像が俺らのシーンと似ているから、これを意識しよう」というメッセージが届いたり。チームとして一つのレースを走るという、とても大切な時間になったなと思います。
 
——滝川さんはいかがですか?
 
滝川広大 自分的には個々の「負けたくない」という部分は最初から持っていて、「The Cadence!」のときはそれぞれの強みを合体させることで公演を作り上げたのですが、「THE DAY 1」は敵とか関係なしに、みんなが一つにならなければ出来ない作品でした。冒頭の江の島のシーンで、みんなが一つにならないと、江の島という風景が浮かばないですし、レースのはじまる瞬間の空気感や緊張感も、みんなそれぞれの感情で動いてしまうと見ている人にはまとまりのない印象で届いてしまうようなものだったんですね。みんなが一つにならないと出来ない公演で、「The Cadence!」とは違った成長が出来たと思っています。
 
——結束力みたいなところで上級生組の関係値はいかがでしたか?
 
滝川 やっぱり敵校だからこそ、仲良しこよしは嫌だ、とみんなが思っていましたね。でも敵対視しているだけでは先に進めなくなってしまう。さっき颯希も言ってましたが、優作が(箱根学園・福富寿一役の髙﨑俊吾と)部長同士で話し合ってくれたことで、自分たちには見えないまとまりが出たとも思っています。

■芝居の向こうに原作の景色が見えていて欲しい

——「THE DAY 1」の公演後にもさまざまな作品にご出演されてきたと思います。この公演への出演前後での、役者としての変化があったのなら、それはどんなところでしたか?
 
島村 「The Cadence!」が終わったあとは、初舞台を無事に終えたということもあって僕のなかですごく「成し遂げた」という気持ちがあり、そこから少し自信を持てるようになって迎えたのが「THE DAY 1」です。初舞台から1年が経った、「THE DAY 1」でも苦戦した部分があって、改めて小野田坂道がどれだけ難しい役なのかを感じました。坂道と向き合うなかで自分が原作漫画から読み取ったものをみなさんにお届けできるか…。舞台上に「小野田坂道がいる」と思ってもらえるような芝居ができるかという課題もありましたし、「本当にこんな人、存在するのかな?」と思うくらいに彼は素直な人なので、僕もその素直さに近づけるように頑張りたいと思いました。坂道と向き合い続けたことで芝居をより好きになれた気がします。そう考えると、「THE DAY 1」を経て役について向き合い、熟考する力が育まれたかな、と思います。
 
北乃 今までもスポーツものやチームものに出演させていただいてきたのですが、舞台『弱虫ペダル』は、周りの仲間や支えてくれるスタッフさん、全員が一つになってゴールに向かっていく作品だということを「THE DAY 1」公演で改めて感じました。一人では芝居は出来ないんだ、周りの支えって大切なんだ、ということをすごく実感したことで、芝居への向き合い方も変化があったと感じています。
 
滝川 作品もそうですが、出てくる言葉にすごく勇気をもらったんです。「The Cadence!」のときには鳴子、今泉、坂道のがんばりを見て、「あのとき俺は負けそうになったけど頑張ったよな」と自分の過去も蘇りました。あんなにつらいのに全力でペダルを踏める姿に感化されたんですね。また、カンパニーのみんなやファンのみなさんの支えをもらっていることも強く感じました。「THE DAY 1」ではそんな「The Cadence!」を経たからこそ田所迅として立つことが出来たんです。全力を出すことによって、「The Cadence!」でもらった恩を返せるんじゃないかという気持ちになったので、恩返しの公演でもありました。それが「THE DAY 2」では坂道に引っ張ってもらう。また違う感情が生まれるので、そこを全力で演じたいと思っています。
 
——では最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。
 
島村 「THE DAY 1」で新キャストが増えましたが、「THE DAY 2」でも、さらに新キャストが登場します。しかも「THE DAY 1」で、チーム一丸となって生み出した熱が今もとてもフツフツと沸き上がっているんです。それぞれが「俺が勝つ!」って思っている、その熱が「THE DAY 2」で爆発するんじゃないかと思っているので、それがすごく楽しみです。見てくださる方にはその熱量を目に焼き付けてもらいたいです。3月はまだ季節的には寒いと思いますが、終演後には半袖で帰っても大丈夫なくらいの熱量を注ぎますので、舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2の熱さを浴びにきていただきたいです。

【リーズンルッカ’s EYE】島村龍乃介、北乃颯希、滝川広大を深く知るためのQ&A

Q.春は〇〇。「〇〇」に入るものは?

A.
島村
「春は「心機一転」ですね。僕はすこし前まで高校生でしたが、春には学年があがるということもあって、毎回 “今年こそは頑張ろう”という気持ちになるんです。高校卒業してからも毎年ありますね。去年の春も“今年こそは焦らず、もっとゆっくり行動しよう”って思いました。毎年、春に立てた心機一転の目標は夏くらいには廃れていくんですけど(笑)。次の4月の“心機一転”タイミングで立てた目標は、一年を通して貫こうと思っています」
 
北乃
「春は「ペダステ」です。インターハイの2日目ということで、レースも佳境に入ってきましたし、一丸となってゴールを目指すときの、その中間地点はストーリーの肝にもなっています。前回、僕たち、田所&鳴子が繋いだものやほかの選手が繋げたものを、2日目に走る部長やエースに繋げる作品なので、リレー形式ではないですが、みんなで一つになっていく姿を見てもらいたいです」
 
滝川
「春は「ドキドキワクワク」です。なにかのはじまりのタイミングって、”ドキドキワクワク”しますよね。俺の場合はドキドキが強めなのですが(笑)。なにかがはじまるときって怖さもありますが、その怖さも含めて楽しめるようになったのは大人になってからなんですよね。小学校から高校くらいまでは恐怖でした。新しく出会う人たちとうまく話せるかな、とドキドキと同時に期待感もある、そんな季節です。あと個人的には4月生まれなので、その意味でも”ドキドキワクワク”しながら春を迎えています」

Q.春夏モノのファッションが気になる季節です。この春、取り入れたいアイテムやカラーを教えてください。

A.
島村
「僕は青が大好きなので、青を流行らせたいです。なかでも水色系の青が好きです。とは言え、普段の服は黒ばっかり着てしまい…。青が流行って、みんなが着ていたらさすがに僕も青が着れるんじゃないかなって思うので、流行ってくれたらいいなぁ、と思っています。注目のアイテムはサンダルです。とても楽なので、ぜひサンダルを履きたいです」
 
北乃
「僕、もともとアパレルでバイトしていた経験もあって、ファッションには詳しいはずだったのですが、年々老化と共に記憶がなくなっていっているんです(笑)。基本的にはダボッとした服装が多いのですが、春夏のシーズンでは短パンの似合う男になりたいと思っています。足を出すことは昔は苦手だったのですが、7分丈の、クロップパンツにハイソックスを合わせたいですね。普段はモノトーンの服が多いので、今年は鮮やかなカラーを取り入れたいです」
 
滝川
「取り入れたい、気になっているカラーはピンクです。男ってなかなかピンクの服装やアイテムを持たないですが、ピンクの似合う男性って色気があっていいな、とも思っています。自分的には一つだけ持っているのですが、それしかないので、今年の春はピンクのアイテムを増やしたいなって思っています。今、考えているのはジャケット!カッコいいですよね」

<編集後記>

田所迅役の滝川さんがしゃべっているときに「ほぉ~!」「それはすごい!」「え!?知らなかった!」と反応して、つい声が出てしまう北乃さんに「ちょっと。待って、待って」と諫める島村さんのコンビネーションは普段の二人の姿を想起させて微笑ましかったです。撮影の裏ではずっとおしゃべりしているみなさん。総北というチームの温かさを感じさせる場面でした。

<島村龍乃介マネージャー談>

とても仲が良く、まるで家族のような総北チーム。
お母さん的存在(?)の滝川さんと、お兄さん的存在の北乃さんに挟まれると、一気に人懐っこい弟の顔になる島村でした。(実際には3兄弟の長男なのですが…)

<撮影の様子はこちら!>



【プロフィール】
島村 龍乃介(しまむら りゅうのすけ)
2002年8月7日生まれ。大阪府出身。特技はサッカー、ダンス。2018年『ホリプロメンズスターオーディション』でファイナリストに選ばれ、ホリプロ所属に。2019年、ドラマ『TWO WEEKS』(久我融役)で俳優デビュー。2022年「舞台『弱虫ペダル』The Cadence!」主人公・小野田坂道役で舞台デビューを果たす。近作にロックバンド「鉄風東京」の「東京」のMV出演、NHKドラマ10「大奥 Season2」黒木 青史郎役、舞台「ジャンヌ・ダルク」傭兵ケヴィン役。
 
北乃 颯希(きたの さつき)
1995年9月14日生まれ。大阪府出身。No.9所属。2014年デビュー。趣味はスノーボード、サッカー、特技はダンス、アクロバット。2000年~2013年まで大阪でドラマ、舞台、ライブやダンスを中心に活動。2014年に上京。代表作に「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン」氷帝・向日岳人役、「舞台『刀剣乱舞』」太閤左文字役など。現在、日テレプラス「2.5次元ナビ!」ナビ隊としてレギュラー出演中。
 
滝川 広大(たきかわ こうだい)
1992年4月14日生まれ。群馬県出身。キャストコーポレーション所属。趣味は料理。特技は柔道初段、殺陣、アクション。2014年に「舞台『K』」でデビュー。代表作に「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン」青学・河村隆役、「イケメン戦国 THE STAGE」豊臣秀吉役、「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』」澤村大地役など。2024年6月「舞台『鋼の錬金術師』―それぞれの戦場―」にハイマンス・ブレダ役として出演予定。

<公演情報>

舞台『弱虫ペダル』THE DAY 2
3月1日(金)~ 10日(日)
東京 天王洲 銀河劇場

原作:渡辺航 『弱虫ペダル』(秋田書店 「週刊少年チャンピオン」 連載)
脚本・レース演出メソッド創作/監修:西田シャトナー
演出:鯨井康介
音楽:manzo
作詞・歌:桃井はるこ
レース演出協力:河原田巧也

出演:島村龍乃介 砂川脩弥 北乃颯希 山本涼介 川﨑優作 滝川広大/髙﨑俊吾 相澤莉多 フクシノブキ 百成瑛 青柳塁斗 中島拓人/鐘ヶ江洸 田口司 新井將/伊藤玄紀 村上渉 山口拳生 若林佑太

チケット発売中

ローソンチケット:http://l-tike.com/pedal-s/
銀河劇場チケットセンター:https://www.gingeki.jp/

公式HP https://www.marv.jp/special/pedal/

© 渡辺航(秋田書店)2008/ 舞台『弱虫ペダル』製作委員会
取材・文/えびさわなち
写真/溝口裕也
 
ヘアメイク/AKi 渡邉真夕


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