コンビニと依存症(アディクション)

 アルコール、ニコチン、カフェインはよく知られている依存性物質です。ちなみに、これらは致死的な毒性物質でもあります。
 私たちが日ごろ食べ物から摂取している糖類(砂糖、ブドウ糖、果糖など)や脂質(脂肪)にも依存性があります。実際、糖類・脂質は脳に対して違法薬物類と同様の作用をします。砂糖はマイルドドラッグと呼ばれることもあります。また、糖類・脂質はエネルギーを効率的に体に吸収できる物質です。そのため、ヒトは甘いものや脂っぽいものを好むように進化したとも考えられます。糖類と脂質を混ぜ合わせて口当たりをよくすると合法的な依存性食品になるわけです。甘い食べもの、脂っこい食べものをやめられなくなっている、食物依存の人びとは人口の1割以上という説もあります。

 今、多くの人びとが日常的に利用しているコンビニに入ると、依存性物質を含む商品が並んでいることに気づかされます。酒類、タバコ、コーヒー・紅茶・緑茶・栄養ドリンク。そして、糖類・脂質をたくさん含んだ菓子類、スポーツドリンクほか清涼飲料水、菓子パン類、アイスクリーム、プリン、栄養ゼリー、揚げ物などです。

 コンビニでは新聞や雑誌も売られています。新聞コーナーを見ると、スポーツ新聞の見出しが目に入ってきます。脳を興奮させる言葉とスタイルが使われています。ひいきのチームの勝利や好きな選手の活躍は強い快感をひきおこします。スポーツ観戦がやめられない(アディクション、嗜癖)状態の方も多いと思われます。
 雑誌コーナーを見ると、「美しい筋肉をつくる」とか「仕事ができる人になるためのノウハウ」といった特集を組んだ雑誌が置かれています。「スポーツや仕事は健全なこと、ギャンブルは不健全なこと」という一般的なイメージがあります。しかし、いずれも望ましい結果が出ると強い快感が得られるという点では共通しています。筋トレやランニングがやめられなくなっている方、ワーカホリックと呼ばれる状態におちいっている方もかなりいると思われます。ダイエットについての記事が掲載された雑誌もあります。ダイエットもアディクションとなり摂食障害と呼ばれる状態におちいるリスクがあります。そして、重症化するほど死亡リスクも高まります。

 コンビニの棚を眺めていると、現代の経済社会において依存症にかかわる物やサービスが大きな位置を占めていることが実感されます。また、依存症状態になってさまざまな困難をかかえた方々への支援が社会課題として理解されることも必要だと思います。



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