進化、遺伝、病気のことなど
先日亡くなった漫画家白土三平の『カムイ外伝』にはこんな場面があります。江戸時代のある村で、遊んでいた子どもたちがたまたま見つけた蛙は五本足でした。気味悪がった子どもたちはその蛙を殺そうとします。そこに通りかかったある忍者が子どもたちに銭を与えて、その蛙を助けてやります。その忍者はそのすぐ後も、蛙を食べようとした蛇から蛙を助けてやりました。
私は昨年、ある遺伝性の難病に罹患しているとの診断を受けました。遺伝子の一部に「問題」があり、そのため体のつくりに脆弱性(弱さ)があります。血管にリスキーな病変があり、体型が特徴的で、骨格の一部が変形しています。
人間は自然現象に対してもさまざまな解釈を加えたり意味づけをしながら生きてきました。ときには、一定の現象を忌むべきものとして排除することもありました。遺伝的な因子による現象についてもそれを嫌悪する思想(優生思想)がかたちづくられました。20世紀には多くの人びとが優生思想を背景に生命と尊厳を奪われました。ナチス支配下のドイツにおいて障害者や遺伝病患者が大量に殺害され(T4作戦)、戦後の日本において優生保護法にもとづき強制不妊手術が実施されたのはその典型例です。日本では近年も障害者施設の入所者が多数殺害される事件が起きました。
人間の尊厳についての理解と進化や遺伝についての科学的認識は生命倫理や社会思想について考察する際に必要不可欠だと思います。
進化、遺伝、病気について考えたことを今後も執筆したいと考えてます。
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