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視聴レポート・題名のない音楽会「世界一要求が多い?エリザベート王妃国際音楽コンクールを知る音楽会」


去る8月28日(土)テレビ朝日系「題名のない音楽会」で明らかに務川さんの3位入賞を祝うという趣旨の「世界一要求が多い?エリザベート王妃国際音楽コンクールを知る音楽会」が放映された(※これは事前のツィート等によって7月9日に収録されたことが判明している)。
出演は務川さんに加え、2012年エリコンのヴァイオリン部門で2位だった成田達輝さん。さらに司会の石丸幹二さんとテレビ朝日武内絵美アナウンサー、レギュラーの古坂大魔王さん。  

まず最初にインターネットでこれでもかというほど見まくったエリコンの表彰式の映像が流れる。「Mr.Keigo Mukawa」というアナウンスに登壇する、我らが務川さん。いやあ何度も見た光景ですが、これを地上波のテレビ大画面で視聴すると、新たな感動が沸き起こってきますね! 改めて見ると4位になった阪田知樹さんがめっちゃ拍手していて感動! 「日本のクラシック音楽史に残る快挙を成し遂げました」というナレーションと共に<今回は凱旋コンサートをお届け!>という文字が。冒頭からお祝いムードいっぱいのなんて素敵な企画なんでしょうか。
VTRが終わり画面には出演者達が映る。着席する各人の間はアクリル板で仕切られている。さて本日の務川さんの装いは、ピンクのシャツに黒のスーツ。胸元にはピンク地にドット模様のチーフが覗く……ピンクも素敵じゃないですか! 明るく爽やか〜。
コンクールでの務川さんの演奏について問われた成田さんは、
「全てのラウンドで本当に最高の演奏をされたのを、私はもう全て追っかけさせていただいて。感動しました。本当におめでとう」
と賛辞を送り拍手。音楽家同士のリスペクトが感じられる素晴らしいコメントだ。
次にサプライズインタビューって、もうあの方しかいないでしょう、と画面に向かって突っ込んでたら、やっぱりの<務川慧悟の親友 ピアニスト反田恭平>氏がVTRで登場。
「本当に務川くんとは大親友であり、表彰式でも思わず涙が出そうになるくらい嬉しくなりました。おめでとうございました」
これに対し「サプライズですね。」「びっくりですね」(本当に?笑)「いやいや。嬉しいですね」と笑う務川さん。テレビ界の空気を読んでコメントする推し、可愛…(以下自重)。 反田さんとは2012年日本音楽コンクールで知り合い「仲良くなりました」と馴れ初めを語る。「同率1位」だったという務川さんに、古坂さんが「じゃあバチバチで」とコメントすると、「そこで仲良くなったんです」とニッコリ。そうだよね〜。この奇跡の黄金コンビが生まれたコンクール。あれからの歴史を思うと泣けるじゃないですか。

ここで凱旋演奏を、ということでまずはリスト「超絶技巧練習曲」第10番。エリコン1次でも演奏され、ファンをノックアウトした曲ですな。
「詩人のような、惚れ惚れとするスタイルで演奏してくれます。風景が見えるような演奏をお楽しみください」との反田さんの紹介VTRの後、ついに演奏が始まる。
左手オクターブが奏でるメロディがズンズン心に迫ってくる。
<この曲は務川くんの十八番の一つ! 彼の帰国後は2人でコンサート帰りに牧場へいき ミルクで乾杯しました>という反田氏のテロップ入る。小岩井農場(笑)。
しかしテレビでじっくり演奏を見ると、改めていろんな面に気付くものですね。
Desのオクターヴを連打からの16分休符で一旦右手を引っ込めてくるっと返すところとか、右手の刹那的なメロディから「バーン」と口にしながらアルペジオに入ったところとか、萌えポイントを交えつつ歯切れよくラストまで駆け抜ける。演奏を終え満足げな笑みで立ち上がるとオペラシティの広い会場に座る4人の出演者とスタッフから拍手。古坂さん「凄かった」。
「遥かにコンクールの時より自由に弾けて、コンクールの時より良かった」と話す務川氏の言葉に頷く成田さん。古坂さん「優勝」。まさに!

さてエリコンの〈要求〉のお話。
要求① 拘束期間は1ヶ月。期間中、基本的にホストファミリーの家に滞在。
ファミリーはコンクール側が選定。優しそうなご主人とアジア系の奥様、背の高い同年齢?の息子さんの写真が映る。「僕は恵まれていて、すごい優しい方で」と務川さんが仰るように、皆さんでワインでファイナル進出を乾杯してくれたり、息子さんとワイン買いに行ったり良い関係を築いていたようですね。
「このコンクールはリフレッシュ期間も設けてあり、ゆったりめなスケジュールになっている」と務川さん。「確かに世界で一番余裕のあるコンクール」と成田さんもそれを肯定。

要求②リサイタル2回分の曲数を用意! 「40分のリサイタル」を2パターン申請。どちらを演奏するのかは直前に指示される。両プログラムで1曲も被ってはいけない!
プロになると時には、いきなり指揮者に数曲を要求されることもあるそう。このコンクールは「まさにプロになることを前提に審査しているという雰囲気がした」と務川さんの感想にもあるように、その後のプロとしての活動に直結するような審査課題を設定している。この課題などはまさにそのものと言えるだろう。

ここで再び演奏を。成田さんがエリコン出場時に弾いたというラヴェル「ヴァイオリンソナタ」第3楽章を、成田さん(Vn)務川さん(Pf)で。
掛け合いをするような出だし。
<この3楽章は素早い演奏の連続を意味する「無窮動」の楽章。ヴァイオリンが休みなく高速で動き回る>曲だそうで、ヴァイオリンの細かい動きが超絶難しそうだが、務川さんのピアノもバッチリ付いていく。しっかり成田さんの動きを目で確認しつつ、さらに時々ガシッと楽譜を掴んで高速譜めくりする姿が素敵。
<作曲者はヴァイオリンとピアノを「相容れない楽器」と表現しています。だからこそ凸凹がぴったりハマる感覚が魅力の曲です>と成田さんの解説テロップ。
ジャズ風かつダイナミックなメロディをバチっと合わせ、そのままま気持ちよさそうに朗々と歌い上げていくのが、さすが一流のプロ同士の迫力だった。

要求③ 一般社会との連絡禁止! 1週間の隔離生活。ファイナル進出者は電話やPCを取り上げられ、1週間の軟禁生活を強いられる。「採取選考用に書き下ろした新曲」を演奏する際外部の情報に頼らず自力で解釈するため
「森に囲まれた学生寮」ということで、ほらほらコンクールの時に散々話題にしたあのシャペルですな。「僕は5kgくらい痩せました」という成田さん。この軟禁生活は全て、ファイナルで披露の新曲のため。
務川氏「ファイナルのために書き下ろされた曲を寮に入った時に渡されて、外部の情報に一切頼らず、皆さんで自分で仕上げてください」
成田氏「作曲者名も伏せてあるので、例えば何人が書いたのかなと想像しながら」
務川氏「参加者同士の中だけでは大丈夫」
務川さんの時の曲はブルーノ・マントヴァーニ<妖精の園から>でしたね。
アナ「参加者同士はライバルですよね」の問いに、「いや、めちゃくちゃ和気藹々としていました」という言い方が若者だなーって感じだった(笑)。
成田氏「プレイルームで卓球しながら、深夜3時にみんなでビール飲んで、じゃあ明日頑張ろうね、もう寝るねーって感じの毎日」。楽しそう。なのに5kg……。
しかし成田さん時のような経験談は、流石に務川さんの時は無かっただろう。コロナじゃなかったら、と残念に思う一つでもある。それでも「すごく満喫していて。すみません、なんか」と謝る推しが可愛(もういいって)。

要求④コンクール終了後 即入賞者コンサートツアーへ。入賞1週間後にコンサートツアー開始。コンクールで弾いた曲は演奏禁止! コンクールは予選から全て配信されており「他の曲を聴きたい」という観客の要望に答えるため
成田氏「僕は1週間に6公演6都市」
務川氏「プロになったら、たくさんの曲をどんどん弾いていかなくてはダメだという意思表示でもあるんでしょうね。実はこれはコンクール申し込み時点で『入賞者コンサートでは何を弾くか』まで提出する」のだそうで、確かにすぐにコンサートありましたよね。いやあでもコロナがなあ。無かったらもっと多くの都市でコンサートが開催されたと思うんだよね。

そしてラストの曲、ラフマニノフ「コレッリの主題による変奏曲」。
椅子に浅く腰掛けた状態で、まずは哀愁を帯びた主題が演奏される。ゆっくりとしっとりと。寂しげだが上品でどこか優しさのあるメロディ。まるで竪琴のような音色で、務川さんが優しく語りかける。続いて、夢の中で過ごすような不思議な感覚の第15変奏。そこから一転人生の厳しさに足を踏み出すような第18変奏、そこからは怒涛の終局へ。音数のやたら多い嵐のような第19変奏から、なんじゃこれはーの常軌を逸したような第20変奏、厳しい左手オクターブ連打からの、全ては夢物語であったと告げるような刹那的コーダ。弾いている表情が素晴らしい。センスの良さというか務川さんの詩的な表現は本当に心掴まれる。
演奏が終わり、はにかむような笑顔を見せる務川慧悟。
しかし東京オペラシティで凱旋記念番組とは。もう本当に素晴らしい! もちろん永久保存の録画もバッチリ。本当にありがとうございました!
放送後すぐに、所属会社の反田恭平社長から驚きの発表があった。
なんと12月18日サントリーホールにて務川さんの凱旋リサイタルを開催するという満を持しての告知!
待ちに待った凱旋コンサート、しかも天下のサントリーホール……。テレビ出演ですっかり浮かれポンチになっていたファン達は狂喜乱舞、盆と正月が一緒に来たかのような、まさに務川デー。祝福の1日になったことを書き加えておこう。








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