おいてけぼりの国【その光 編】

この国が
産声をあげたのは
ちょうど7年前

新緑の光のなか
産み落とされた
無数の時間たち

そのなかで
しっかり息を繰り返す
この国
その名を
「おいてけぼりの国」

光の速度で進む隣国
「はやあし・こばしりの国」は
今日も忙しそうに

株価がどうの
地価がどうのと
数字と格闘し
数字をどうにか増やそうと
考えあぐねいているようだ

隣同士の国なのに
どうしてこうも
速さが違うのか

流れる空気も
流れる雲の形も
まるで違う

わたしは
大きく伸びをして
身体に力をみなぎらせる

午前中は
歌を歌って

お昼には
サンドウィッチを食べ

午後からは
釣り糸を垂らし
言葉を釣る予定だから

どうにも
儲かりはしないけど、

気持ちは豊か
土壌も豊か。

実る作物は輝きを放って
太陽の光を浴び
たわわに風を揺らしている


昨日が一昨日になって

今日が昨日になる

毎日を
そうやって続けていくことで

未来(あす)をこちらに呼び寄せている