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防備装置としての殻
−そして、ヒナとしてのわたし

卵の殻くらい
頼りないもので
自分を守っている

卵の殻くらい
壊れやすい
防備装置


雨が気まぐれに降る午後に
朝から重たい頭を抱えて
傘を閉じたり 開いたり

目的地までの道のりは
遠く、遠い。



割れやすく
ひびの入りやすい
弱々しい 殻のなか

それでも
しっかり息をしている
わたしの呼吸器

しっかり動いている
わたしの心臓

殻のなかで
うごめいている
わたしという命


殻のなかに閉じこもっているわけではなく

殻に守られ孵化する日をじっと待っているんだ

たとえ弱々しい
防備装置だったとしても

それに守られて
呼吸しているんだ


雨から身を守る傘のように
雑音から心を守るイヤフォンのように

殻はわたしを内包する

そのなかでの、ヒナとしてのわたし。


_____


雨だからでしょうか。今日は街行く人々それぞれが殻のようなものをまとっているなと感じました。殻といっても、薄い膜のようなもので、パーソナルエリアみたいなものでしょうか。

その領域の中には、やはり簡単に他人を入れるわけにはいかなくて、みんな必死で守っているようでした。

「殻に閉じこもる」という言葉は、あまりいい意味では使われない言葉ですが、でも、閉じこもって、その中でうごめいている生命の営みをみつめてみるのも、ときには大切ではないかなと思う今日この頃です。

立冬が過ぎ、一雨ごとに寒さが増してくる時期ですね。冬という季節は、じっと何かをみつめるのに適した季節のような気がしています。