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Shall we dance【エッセイ】

無縁は人の縁によって縁があるものに変わる

突然渡された社交ダンスパーティーと書かれたチケット
余ってるから来て欲しいとの事

社交ダンス?

はて?
芸能人が企画で挑戦してるところをテレビでみた
それくらいの知識しかない

それくらいの知識があれば充分!とのこと

本当か?

聞けば、教室に通う生徒がレッスンの成果をお披露目してる間に食事をすればいい。とのこと

ふむふむ。
私の頭の中では、ピアノの発表会にディナーショーをくっつけてそれをギュッとコンパクトにしたものが完成した
それなら行けそうだ
しかもドレスコードも無いらしい
楽勝じゃないか

念の為に引っ張り出した一張羅のワンピースを着て会場に向かう

なんじゃこりゃ
目に映る全ての物が初めてだった
手首につけられた謎の花
色鮮やかなドレスを纏った人々 
ホールの中心を大きな円状にスペースを空け、それを囲むように並べられたテーブル

なんの根拠もない楽勝はたったの一歩で完敗になった

全くもって無縁の場所だ
落ち着かない

案内された席には
ワイングラス、フォーク、ナイフ、スプーンがいくつもキレイに並べられていた

うわ!テーブルマナー的な物が必要なやつだ
この会場内でそんな事を思ってる人は私以外にいないだろう

同じテーブルには煌びやかな大人の女性たちが座っていた

会場を見渡しても同世代が見当たらない
社交ダンス用?の鮮やかなドレスの中じゃ
一張羅のワンピースがしょぼくれていた

どの方が生徒さんでどの方が招待された人なのか見分けがつかない

アナウンスと共にパーティーが始まる
数組の生徒さんが中心の円の中でダンスを始める
これは何とかって言う種類の何とかって言う曲らしい

とりあえず美味しそうなご飯を食べよう
周りの人達が掴んだ物と同じナイフとフォークを持って名前もわからない野菜を口に入れる

大きな拍手が起こる

なに!!

どうやらテーブルの近くでダンスをしてる時は拍手をするらしい
応援なのか歓声なのかそんな意味があるのだろう

それくらいの知識じゃやっぱり太刀打ちできないじゃないか

曲が変わるとダンスの種類が変わる
ダンスをしてる生徒さん達も変わる

拍手は頻繁に起こる
食べるタイミングが分からない

急に周りがザワザワする 
男性がウロウロして次々に女性をエスコートしていく
どうやら招待された人も自由に踊っていい時間のようだ
テーブルにぽつんと1人になる

鮮やかでみんな美しい

お花畑の中の雑草みたいな私
完全に浮いている

みんなが戻ってくる
アナウンスが入る

1人の男性が踊って頂けますか?と手を差し伸べていた
え?と、戸惑ってると
周りの人達が初心者のお花つけてる人の番よ
せっかくだから参加してみて

あぁ!この手首のお花は初心者のマークなのね

男性がステップをゆっくり教えてくれる

本番はじめます!のアナウンスと共に曲がはじまる

教えられたステップが真っ白になる

落ち着いてください。
左から行きましょう

と紳士に教えてくれる
なのに思いっきり足を踏んだ

必死に謝ると
大丈夫です!ゆっくり行きましょう

どこまでも紳士だ
映画でよく足を踏むシーンがあるけど本当に踏んでしまうものだな
頭が真っ白のまま終わった

最後の方、とても上手でした
お礼を言って席に戻る

また誰でも参加自由の時間らしい
次々に内側に人が集まる

別の男性が踊って頂けますか?と言ってくる
手首のお花をみせる
初心者なんです
先程のダンス見てました!上手でした!是非
勢いに押され再びダンスをする事になる

先程より出来てるかな?
私の席の近くを通る
みんなが大きな拍手をしてくれる
そこで時間が終了する
男性と手をつなぎながらみんなにお辞儀をする
あなたとても上手よ!
と大きな拍手をまたしてくれる

少し馴染めたきがして嬉しかった
雑草だけどシロツメクサくらいにはなれたかな

社交ダンスが無縁のものではなくなった瞬間だ
こんな日が来るなんて夢にも思わなかった
良い経験をした
これだから人生は楽しい

色んな縁によって想像できない未来が来る

人生を楽しむための鍵だと私は思う







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