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2022年5月の記事一覧
おばあちゃんへの手紙10
翌年も夏休みを利用してお遍路の旅に出かけた。
日数にしておよそ五日間ほど、
ようやく作り出せた時間だ。
家族全員の予定を合わせるのは難しい。
それでもまだ、
三人の子供が小さいので融通が効きやすい。
佳乃が小学三年生、勇一が今年より小学一年生、
勇作が三歳。
八十八カ所の札所を
一度に全部回ることを「通し打ち」といい、
何カ所か小分けにして打つことを「区切り打ち」という。
また、徳島(
おばあちゃんへの手紙11
夜と朝の狭間で独特の陰影と色彩を輝かせている
静穏な時間は本当にあっという間に終わった。
数秒前の情景が、
刹那の幻想であったかのようだ。
一日の貴重な始まりの時間を
プレゼントされたようで、
清々しい気分で満たされていた。
10分もすると、
朝日は日常の太陽へと姿を変え、
もう直視することはできない。
辺りも
先ほどまでの漆黒の闇はどこへ行ったのだろうと、
見紛うほど普通の晴れた朝の風景
おばあちゃんへの手紙12-1
高知のお寺を順拝しながら、
道すがら龍馬ゆかりの地も訪ね歩いた。
宿は龍馬の実家があったとされる(跡地)付近に建てられたホテルに泊まり、
龍馬が子供の頃通ったとされる剣術道場跡地を訪ねたり、
高知城にも登城してみた。
そして龍馬ファンとして
何よりも訪れてみたかったのが桂浜である。
司馬遼太郎さんの小説
「竜馬がゆく」に何度も登場する砂浜で、
有志達によってそこに建てられた龍馬像を
一度こ
おばあちゃんの手紙12-2
恐怖ではなく、
このような畏敬や畏怖の前では
自分が小さき者であることが
幸せの大きなポイントであると、
腑に落とすことは容易だ。
普段私たちは常に大きくありたいと願い行動する。
立派になること、
みんなに認められるようになること、
夢を実現させていくこと。
それが叶わないと
勝手に惨めになって自分は不幸だと追い詰めていく。
大きな者であることは、
実は自分を追い詰め、
虐げることと同義だ