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【不動産屋の雑談】仲介料って、って話

町の不動産屋に勤めていた。
会社では売買も扱っていたが、私の担当は賃貸だった。
お客様を物件に案内して説明して契約書を作ったり、入居後の管理をしたり、家賃支払いが難しい時には相談してもらったり。
とにかく、入居にまつわるエトセトラである。

随分昔にアイドルが「引っ越しするのに不動産屋の仲介料高すぎ!」と怒っているのをテレビで見た。
「大家さんと仲良くなって、部屋を貸してもらう!」とも。
確かに、不動産屋を通さなければ仲介料はいらない。

不動産屋の社長なんかが所有してる物件を自社で紹介して、仲介料取ったりしているところを見たことあるけれど、あれはかなりグレー、かどうかはともかくセコいな…と思う。

賃貸での仲介料は通常、賃料の1ヶ月分+消費税、なので芸能人が住むようなお家賃高そうな物件では怒りもあるだろう。
もちろん、そうでない物件でも。

ただ、現代人は忙しくて「いいな」と思うような物件を自力で見つけ、大家さんを探し出し、仲良くなって、入居をする、という時間を取るのは至難の技だとな、と思う。


今、ほとんどの不動産屋は仲介料を入居者から貰っているけれど、ほんとは大家さんへ請求することだって出来るし、入居者・大家さんで半分ずつで貰うことも出来る。10万円なら5万5万ずつとか。3万7万とかでもいける。

では、なぜそうしないのかと言われると、大家さんにそれを言うと嫌がられるから、である。
じゃあ、おたくの不動産屋には仲介頼まないわ、と言われるとまぁまぁ困る。
扱う物件が多いほど、お客様は、集まるし。

たまに見かける「仲介料無料」は大家さん側から仲介料を貰ったりしているのだと思う。
もちろん、色んな事情で不動産屋が仲介料を諦めてる場合もあるけれど。


それでも不動産屋が大家さんに「無料キャンペーンってことで、仲介料大家さんが持ってくれませんか」と提案し成功するのは

■3月4月の異動時期
この時期は良い物件が沢山空くので、ライバル物件が多い。少しでもセールスポイントを付けて入居者を得るべく提案すると乗ってきてくれたりする。


■長く空いてる物件
同じくセールスポイントを付けて、入居者を獲得しましょうと囁くのだ。

そんなこんなで、仲介料は逃れられる時期もあるかもね、という話。


前にそんな話をウッカリ、といったらなんだけど案内中のお客様に話した同僚大野が案の定「じゃあ、家主に仲介料頼んでよ」と言われ、ややこしい交渉をするはめになっていた。

家主の「その人には貸さなくていいです」という身も蓋もない返事をもらっていた。

気に掛けてもらって、ありがとうございます。 たぶん、面白そうな本か美味しいお酒になります。