見出し画像

誕生日と家族


皆さんは自分が生まれた日のことを聞いたことはありますか?

私は今月の7日に無事誕生日を迎えて28歳になりました。身長が174cm近くあって(というのも、なんか地味に縮んできてるからです)、今ではめちゃくちゃ健康優良児なわけですが…
出生当初は出産予定日よりも1週ほど早く生まれてよわよわのベイビーとしてこの世に生を受けておりました。
母はいつも誕生日になると同じ話を聞かせてくれます。
「思ってるより早く生まれちゃったからね、すごく小さかったのよ」
「ご飯も全然食べないし苦労したのよ」
「あまりに小さい声で泣くから、息をしてないんじゃないかって不安だった」
「それなのにこんなに大きくなっちゃってまあ」
最後の言葉はいつも笑いながら手を握ってくれます。

私は身の回りの人たちの中でも比較的家族仲が良い方だと、特に社会人になってから強く実感することが増えました。休みが少しでも長く取れたら家に帰り、両親や妹と食卓を囲み、他愛のない会話をしながら夕飯の後のおやつを温かいお茶を淹れてみんなで食べる。父に誘われて美術館へ行ったり、母に誘われてバレエやミュージカルを見に行ったり、妹の誘いでクリスマスマーケットへ行ったりと、家族内でのイベントに参加する比率は同年代よりも高いような気がします。社会人の子どもを2人も連れて家族旅行に行っているだなんて、あまり聞く話ではありません。
よく両親のことを嫌にならないのかと聞かれるのですが、私は決まってそんなことはないと答えます。私は本当に家族が大好きで、家族に関する細かなエピソードの中で密かにランキングをつけては日記を読み返したり、紙のアルバムを見返したりすることがあるくらいです。

高校生くらいの時は心配性なくらい過保護気味な両親に嫌気がさしたこともありましたが、大学生以降は地味に規則が緩んだので、まあいいか…と現状を受けて入れています。(とはいえ、20過ぎても門限が23時半過ぎなのはどうかと思う)
あとは、自分が長子であることも彼らの心配の要因なのかなと受け入れられるようになったのも大きいかもしれません。

家族が歳をとってきて、この人たちがある日突然死んでしまって、いつでも抱きしめられる距離にいなくなってしまったら私はどうなってしまうんだろうとよく考えます。今就いている仕事上、日本で大地震や未曾有の災害が起きた時家族のそばにいる保証が何もないのが、じわじわ心を蝕んでいるような気がします。今年も元旦から地震続きで、その度に「船は無事でも家族はいないかもねえ」と親が口にするのが嫌で嫌で悲しくて、嘘でもそんなことを言わないで欲しいと思いました。それがどうやら顔に出ていたようで、「そんな顔しないの」と手を握られました。あったかい手のひらってなんであんなに安心するんでしょうか。まだ親と川の字で寝ていた頃、眠れないよと駄々を捏ねていたら手を握られて、そのままむにむにと親指の下の肉を揉まれているうちに眠ってしまったのをよく覚えています。
父は父で、食の好みや鑑賞物、色味などかなり趣味が似通っているのもあって新しい財布がどうだの、新調した革靴がどうだの言い合っています。しかし父もTwitterでたまに見る「一言多い人」になったよなあと妹と話題になります。あの調子で部下の方に何か余計なことを言っていないか、セクハラに抵触しそうなことを言っていないかと家族ラインの返事を見ながらここのところは内心冷や冷やしています。でも、どんなに忙しくても変な時間に送っても、真っ先に返事をくれるのは父なのでそこが憎めない優しさなんだろうかと思ったり思わなかったりしています。

この3年くらいは船が実家から近いので、仕事が休みの日は家でぐーたら過ごしているわけなのですが、リモートワークの父とカレーを買いに行ったり、食後の散歩に行ったり、母と一緒に父に内緒でアイスを食べたり、疲労困憊で襲来する妹の仕事の手伝いをしたり、まだまだ幸せな日常が送れているなと実感します。
いつも家にいると揶揄されるほどには、一人暮らしの時も実家に入り浸っていた私ですが、家族との幸せな時間が多く、今もなおそれが継続していることもあり、自分が家族を作る時はこんな優しい穏やかな時間が作れたらいいのになと最近はうっすら考え始めました。
一個人の理由で出産予定はないのですが、せめて自分が選んだ大好きで信頼のおける人と優しい時間が送れたらなと思っています。現実にできるかはひとまず置いておいて。

誕生日が学生の始業式に該当することが非常に多かったため、当時は友達に祝ってもらえない誕生日など、と悲観的に思う時期もありましたが、どこの時期からか「誕生日です!祝ってください!」というスタンスを始めたら悲観的に考える時間なんて無くなって、笑いながら祝いの言葉を口にしてくれる人が増えました。まあそれよりも、家族からもらえる「良い一年になるといいね」の一言がもらえたら、「生まれてきてくれてありがと」がもらえたら、「うちの家の子でいてくれてありがとうね」が聞けたなら。これからもずっと幸せな誕生日が送れると思うのです。

改めて、28歳の誕生日おめでとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?