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エゾモモンガと出会った日。
ある朝。
夜寝る時にカイロを貼った足に、新しいカイロをつけて、いつものように森を歩くことにした。
生き物を観に行くというよりは、森を歩くことが大学生の頃からのライフワークのようなものになっている。
この森でエゾモモンガをみたのは、
今日で二度目となった。
ぼくが森に入って10分。
木の幹を駆け上る灰色の生き物に出会った。
あたりはまだ明るくなって間もなく、
朝日が斜めに入って、森を照らしていた。
雪の深い森では、自分の足が沈んでしまう。スノシューを履いても、思うようなスピードでは歩けないが、森を味わうなら雪の深さは、そこまで問題ではない。
積もり積もった雪があたりの音を全て吸収して、森は一層静かになる。そんな静けさの中で、乾いた木の幹をカリカリと登る音がする。
最初はエゾリスと思ったが、登り方に独特の癖がある。両手、両足を開き、ぎこちなく、それでいて素早い。
それは間違いなく、エゾモモンガであった。
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モモンガは、枝の先まで登り切ったあと、僕との距離感に少し落ち着いたようで、ごはんを食べ始めた。目が合い、見惚れていると、かすがぽろぽろ、ぽろぽろと落ちてきた。
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枝を齧り取ろうと頑張っている。数秒の出来事だが、僕にはとても長く感じられた。
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一生懸命な姿がよい。
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こんなに太い枝も、エゾモモンガの牙にかかれば朝飯前だということを知った。
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枝の周りについている芽を器用にポリポリと口に運び、あっという間に平らげてしまう。
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エゾモモンガも齧歯類というネズミの仲間なので、しっかりと頬袋がある。
結局、太陽がしっかりと上がる時間帯まで、このコはお腹いっぱいに頬張った。
口の横に、食べカスがついているぞ?
とひとりで囁きながら撮影していると、
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食べカスに気づき、
ハムスターのように「くしくし」。
野生の動物にも、
気の抜ける瞬間というのは
しっかりあるようだ。
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