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「私、この度めでたく健康になりました」と高らかに宣言したかった。

私は、ホリスティック栄養士になる過程で、「健康とは一体何か」について激しく考えた時期がありました。

なぜなら、自分が「健康じゃない」時期が長く続いたからです。

「健康じゃない」自分と元気な人を比べてしまう

健康じゃないことはとてもつらいです。同じ年齢の、同じ性別のほかの誰かが、私にはできないことを難なくやってのけている。子育ても家事も仕事も遊びも、とても楽しそうにこなしている。一方私は日々のエネルギーが限られていて、できることとできないことがある。スーパーに買い物に行ったら、疲れ果ててしまって寝てなくてはならない。食べるものによって大きく体調が左右される。教師だった私は、「生徒にここまでやってやりたい」と思うことがあるのに、それをできない自分は「仕事ができない人間」と思えてなりませんでした。人よりたくさんのハンデを背負っている気持ちがしました。

「いつか健康になりたい」という時の「健康」って・・・?

やりたいと思ったことを、100%の力でできないことをわかっていることはつらいことの一つでした。心の底から、「健康になりたい」と思いました。いろいろな食事法や生活習慣を実践して、いつか「わたくし、みるみる体調が良くなって、以前のエネルギーを取り戻し、このたびついに健康になりましたー!」と高らかに宣言したい。絶対してやる。と思っていました。

そんな日はなかなか訪れませんでした。あるとき、私の「健康」の定義が間違っていたんだと気が付きました。間違いポイントとしては二つ。

一つ目は、そのころ目指していた「健康」は、20代のころの、焼き肉&オールナイトカラオケした後にシャワー浴びて〇ロナミンC飲んで仕事行く、みたいな自分を想定していたということ。または、同じ年齢のそういうことができる人たちを想定していたということ。

そしてもう一つは、健康は「achieve=達成する」ものだと思っていたこと。

「健康」とは、チューニングと中庸

様々な勉強をしたり、自分自身との対話を続けたりする中で、健康とは「日々のチューニング」「中庸を目指すこと」だと悟りました。

英語で「wellness=健康」の反対は「illness=病気」です。だけど、私はその健康vs.病気の構造の中にいる限り自分は健康にはなれないことが分かったのです。

私たちの身体には個体差があります。Bio-identity(バイオアイデンティティ)といって、生まれながらに顔つきや体つきが違うのと同じで、身体の働きっぷりも違います。私の身体は、エネルギー生産が苦手だったり、ミネラルの吸収や活用が苦手だったりする。水分をためやすくて血の巡りが悪くなりがち。それによる問題が沢山起こる。でも、消化器系はとても強くて便秘になったこともなければ、歯のケアに行かなくても歯はいつも健康。私の身体には得意不得意があって、他人のそれとは全然違っているはずなのです。そんなことを忘れてしまうから、みんなこぞってココナッツオイルを買ったりコエンザイムQ10を飲んだりする。健康番組の翌日に納豆やバナナが商品棚からなくなる。嫌がる友人にランニングを勧めたりする。

私は、私の持っているもの(身体)で勝負するべきだということに気が付いたことが最初のステップでした。私の「健康」は、隣の人の「健康」とは違うのだと。

そう気が付くと、私は自分の健康を、大昔の&出産前の&人生で一番元気な時期と比べたり、職場の元気な30代と比べることがなくなりました。そして、いかに「今の自分のベスト」に持っていくかということに注力し始めたのです。

常に「今の自分のベスト」に持っていく

やりはじめてわかったことは、「今の自分のベスト」に持っていく作業というのは、いかに上手にバランスをとることができるかということ。朝起きて、自分と対話する。ちゃんと眠れたか?すっきり起きられたか?胃の中はからっぽか?倦怠感はないか?朝の調子が悪い時、自分に問いかける。昨日の夜、食べすぎていない?冷たいものばかりとっていない?生理が近い?ちゃんと穀物取ってる?思い出していくと、必ず何かしらの原因に行き当たる。原因がわかったら、朝ごはんを決める。梅醤番茶だけの日もあれば、軽くナッツをつまむ日もある。何も食べない日もある。ごま塩をなめてシャキッとさせる日もある。「寝たほうがよさそうだな」と思ったら、潔く寝る。毎日、自分をチューニングするのです。

陰陽の物差しでいうと、身体が陰に傾いたら、陽へ持っていく。陽に行きすぎたら、陰を取り入れる。日々、中庸を目指す作業なのです。

こういうことがわかってから、私は「健康」とは達成するためのゴールではなく、これから毎日、死ぬまで一生続く問題なのだと思うようになりました。

そっかー、一生続くのかー・・・!!!と思うと、めんどくさすぎて吐き気がするけれど、それって、おもしろいやん?という気持ちになるのは私だけでしょうか。


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