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大学時代に数学で挫折した社会人が、数学検定を受験して得たもの

今年の2月に、数学検定を受験しました。

数学の勉強にしっかり取り組んだのは学生以来で、もう十数年以上ぶりになります。試験に向けて苦手分野をまとめる作業や、試験直前のドキドキ感なんかもとても懐かしく、数学って楽しいなあと改めて思いました。

ちなみに僕が受験したのは準1級、高校3年レベルの内容でした。試験結果はやや不安だったものの、合格点ぴったりでギリギリクリア。合格証が届いた時は、やっぱり嬉しかったですね。

嬉しくて思わず壁に飾った合格証

今回の記事では、学生時代に数学を挫折した僕が、大人になってから数学検定を受験した動機や学習を通じて得たことをまとめてみました。これから数学を学び直したい、数学検定を受験してみたいと思っている社会人の方の参考になれば嬉しいです。

数学検定を受験した動機

僕は、高校時代までは算数・数学が得意という自覚はありませんでした。ただ、暗記しなくても問題を解けることが、パズルを解いているようで好きだったように思います。

大学は理学部に進学し、学科選択では「必須科目が少なく好きな勉強ができそう」という理由で数学科を専攻。もちろんこの選択が甘く、大学数学は範囲が広く抽象度も高くなり、問題を解くことが中心だった高校数学とは全く別物だということを知りました。結果、ちゃんと数学の基礎が身についていなかった僕は、2年も経たずに挫折することになりました。

社会人になってからは、すっかり数学から離れていました。しかしこの年でプログラミングの学習に取り組んでいると、よく数学の話題を耳にします。また、ときどき趣味で手に取る数学パズルや結城浩先生のロマン溢れる物語に触れるたびに、「やっぱりもう一度数学に挑戦したいな」という気持ちがふつふつと湧いてきました。

そんなこんなで過去に挫折した数学を基礎から学び直す動機として、数学検定を受けてみることにしたのです。

数学検定に取り組んで良かったこと

数学自体の楽しみ方・学び方を理解した

受験してよかったことはまず、純粋に数学自体の楽しみ方がわかったことです。これは、数学の学び方を理解したこととイコールになります。

数学を学ぶ目的は問題を解けることだけではなく、本質を理解するということです。…ただそれが非常に難しいのですけど、少なくともこんなことを意識すると良いんじゃないかな、というのが見えてきました。

・範囲全体を俯瞰して繋がりを把握する
・用語の定義や定理の意味を説明できるようにする
・例題レベルの基礎問題は、考えなくても手が動くぐらいに復習を重ねる

学生時代の勉強と大人になってからの勉強の大きな違いは、「テストやレポートのために勉強する必要があるかどうか」ということだと思います。一応、大人の勉強でも今回は「数学検定で合格点を取る」という目標はありましたが、学生時代のように点を取ることが第一優先ではありません。じっくり理解を中心に取り組むことで「意味を説明できるようになる」というのが、大人の学習には特に重要だなと思いました。

検定が学習のモチベーション維持に最適だった

もうひとつ受験して良かったことは、数学検定が学習のモチベーション維持に最適だったことです。具体的には、以下のような点があげられます。

・期限とゴールが設定される
・試験問題は基礎が問われているものが多い

受験する回によって難易度は違いますが、数学検定の問題は大学の入試問題と比べて、より基礎的な内容を問われている印象を受けました。

ここで「基礎」イコール「簡単なこと」という訳ではありません。数学の基礎とは「正しいルールや定義に従って計算を正確に行いながら、論理的に過程を説明できること」だと僕は考えます。たとえば過去問の中に「○○の公式を証明せよ」という問題があったりして、こういうのは試験問題としては難しいかもしれませんが、とても基礎的で本質的な学びが凝縮されているように思います。

数学検定に挑戦してみたい社会人の方へ

受験級の選び方

さて、僕のように社会人になってから数学を学び直してみたいという方は、まずは試しに日本数学検定協会の公式ページに載っている過去問題を解いてみるのが良いのかなと思います。自身が挫折したなーと感じている前後の学年に対応する級を目安に時間を測って解き、つまずいてるレベル感を掴んでから参考書などのインプット学習に移ると良さそうです。

僕は準2級、2級、準1級を試してみたところ、結果はこのような手応えでした。(具体的な自己採点の点数は忘れました)

  • 準2級(高校1年レベル):今の状態でも合格できそう

  • 2級(高校2年レベル):半分くらいは出来てるので、勉強し直せばすぐに合格できそう

  • 準1級(高校3年レベル):ほとんど覚えてなくて頑張らないとだめかも

ここで2級か準1級どちらをを受験するか迷ったのですが、思い切って準1級に挑戦することにしました。学生時代に数学が比較的好きだったという人は、上の級を目指してみると面白いかもしれません

一方で「数学に苦手意識があって、教養として数学を学びたい」という方は、これはあくまで僕の主観ですが、ひとまずの目標として高校1年レベルの準2級を狙ってトライしてみるのが良いと僕は思います。高校数学がよくわからない原因としてよく挙げられる「関数」や「三角比」の理解を深め、「場合の数と確率」では現実的な事象を考えたりと、とても重要かつ興味深いテーマが揃っているように思います。

教材の選び方

社会人にとって、日常の生活や家事育児、仕事、人付き合いなどをこなしながら時間の制限がある中で学習するためには、力を入れる・諦めるところを見極めて教材を選ぶことが大事になってきます。

まずインプット学習用の参考書は「ちょっと自分には簡単かな?」と思うくらいがオススメです。こちらは薄いものを選ぶよりも、分厚くても解説が丁寧な方が良いかもしれません。

次に問題集は、網羅性が高いものよりも、適度なボリュームのものを繰り返し解くことが重要に感じました。算数の計算ドリルのように、基礎的な問題を体に馴染ませる必要があります。これは参考書と違い、ある程度薄く(でも解説はしてくれている)ものを選ぶのが良いと思います。

最後に、過去問題集は絶対に必須です。時間を測って実際の試験と同じ条件で解く練習を繰り返すのがすごく重要でした。

こんな観点から、参考までに僕が準1級を受験した際に使った教材はこちらです。他の級でも、教材選びに迷ったらこれらのシリーズを一度書店で見てみると良いかもしれません。

参考書

問題集

過去問題

また、教材とは違う観点になりますが、学習のためのツールを選ぶのも効果的です。「物理本+ノート」「電子書籍+スマホやタブレット」「動画教材」と、今の時代はアナログもデジタルも選ぶことができます。僕は問題集をスキャナーでいわゆる自炊をしてpdf化し、寝る前に電気を消した布団の中で解いたり、Youtubeの数学解説動画をスキマ時間にやってみる…というのを習慣化することで、勉強時間を確保していました。

学習のモチベーションづくり

もうひとつ、社会人の学習でハードルになるのは、いかにモチベーションを保つかということです。学生時代は嫌でも授業や小テストがあるのに対して、社会人の勉強には強制力がないので、ともすれば日常に埋もれて学習が後回しになってしまいかねません。

社会人に限りませんが、学習にオススメなのは「習慣化」と「記録」です。

「習慣化」は、自分のスケジュールの中に勉強時間を当てはめることで、やる気やモチベーションに頼らないようにしてしまうことです。僕の場合は、朝起きた時に毎日1時間程度の時間は参考書を進める時間と決めつつ、寝る前は布団の中で問題を解くというのを習慣にしました。自身が普段何気なく過ごしている時間を棚卸しして、無理のない習慣化をするのがポイントです。

「記録」は、振り返りの時間を取ることで学習の目標や進捗を客観視することです。毎日記録できれば理想なのですが僕の場合はそこまでマメでないので、毎週日曜日に1週間の進捗と次の目標を適当なメモ書きで残しておくようにしました。間違えやすい問題の傾向を書き留めておいたり、試験までに学習したい分野を整理しておくことで、焦らず取り組むことができました。

おわりに

さて、ここまで僕が数学検定を受験して得た学びをまとめてみました。数学を学び直したい方、数学検定の受験を考えている方に少しでも参考にしていただけると幸いです。

学習する際の教材の選び方や方法論がこうやって言語化できたことは、僕の中でひとつ得たものではありますが、やはり何よりも「数学の楽しさを実感した」というのが僕が今回の受験で得た一番大きなものだったと思っています。

まだまだ僕も理解が足りていないのを実感しました。これからも次の目標を決めて、引き続き数学を楽しんでいきたいなと思います。

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