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過去詩ふたつ「樹」

『木々と君のコラール』より

「過ぎる樹の」

夕闇を照らす ガス灯の
こはく色したゆらめきに
うっとり ひたった帰り道

こころは ふるえてざわめいた
あたまの声は ひっそりとして

目覚めればそこは 白い 朝
夕べのわたし どこいった?
キライだ 太陽は正しすぎる

明るみに出る 気怠いからだ
照らされるのは 道しるべだけ

樹のよこを とおりすぎるたび
まぶたに緑が重なるよ
──絵画が うすく かさなっていく

樹のそばを とおりすぎるたび
さざめく声が重なるよ
──音楽が かるく かさなっていく

ふわり 白いTシャツに
似た あたらしく なつかしい
なにかが ふわり

「樹木になる」

額を打つしずくを
無意識に感じられたら
花が落ちることも
悲しくはない

頬を打つしずくを
心地よく感じられたら
葉は朝焼けと
ともに輝く

肩を打つしずくを
恵みに思えるのなら
空に手を伸ばす
枝木のように

足下のしずくを
誇れるのなら
すすんで佇む
樹木になろう

#詩 #ポエム

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