薄明 【詩】
薄明のはしごを昇る偉丈夫と
薄明のレースを纏う地母神は
すれ違いにもほとほと飽きて
指輪を差し出した
どちらからともなく
海に投げ捨てた
矜持の屑は
海溝よりも深い遺跡で
再利用を禁じられて眠る
誰もが口を揃える日が来た
──祝福などとうにされている
そう言えるまでに
海は青黒くなり
大地は無駄に摩耗した
いま
灘が舞い 嶽は弾け
生まれゆくモザイクの新世界
閉ざされろ 遺跡への道
薄明は今度こそ生まれ変わる
昇るでも纏うでもない
照らし 溶かし 解くものへと
ああ、かつてわたしを縛りつけた
ことばとかからだとかが
ほどけて生まれ変わるとき
もはや薄明を見てはいられない
かざした手の
甲に落ちた影が
光を食べこぼすのを見た
#詩 #ポエム
ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!