焦寧 【詩】

そこにさざめく葉の一群に
かの詩集を読ませてあげたい

あなた方もわたしと同じで
哀しみを言葉にできないのだから

余計なお世話だと言わんばかりに
狼の声が月にこだました

ひと吠え にも 遠く及ばない 虚しさ

大いなるものよ なぜ わたしには
哀しみの声を宿してくださらなかったのか

濡れた葉は朝になれば 煌めかされて
写真家が切り取り美の額縁に飾る

老夫婦が散歩の途中 朗らかな顔で
露の先にある晴天を指差す

線を越えたひとびとの営み

誰にも気づかれなかった涙が
どれだけ大地に落ちただろうか

なんてポエムをかましたりして

この分け隔てない世界に
分け隔たれた心を
過ちと認めてしまう愚かさに
小さい葉々を仲間と言える傲慢さに

どうか い か ず ち  を

いかずちを

いや 雷はもう沢山です

聡く愚かな安らぎを
我がもの顔で求めるくらい
幾度も焦がされたこの身は
まだしつこく
 息をしているのです



#詩  #ポエム

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