あさのおとずれ【詩】

「あさのおとずれ」

　弥勒の閉じられた眼が
　玄関と錆びた自転車のあいだに
　ひろく　たかく　澄み渡ってゆく

　初夢は……見なかった　代わりに
　加湿器の給水マークと
　窓の結露がせめぎ合っていた

　なにもかもが　きらめいた　あさ

　光と風と水さえあれば
　　夢の世界は現れるのに
　光と風と水があるだけでは
　　朝の世界はあらわれない
　　　　（夜が明けるだけでも）

　午前７時から　２時間あまり
　幻想の過ちを追い回した
　寝苦しい妖夢をㅤ打ち砕いた
　予期せぬおとずれ

　訪れをじっと待っていた
　いつくしみ
　きづき
　……そしてまた忘却

　　　　　　　　　　　　　　廻る天文学

　　傾く神智学

　　　　　　　　　心理学に転ぶ

　なににも繋がれない
　なにも繋がない
　大地に
　心細く立つ

　こころ　ぼそさ　の　うえ　に　たつ

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#詩 #ポエム