Photo by yesyoshino 限られた壁の向こうに【詩】 16 矢口れんと 2023年7月20日 08:46 光、無量に差すれども生涯、照らされなかった言葉をアイビーの蔦這う壁にでかくでっかく 吹きつけた路地裏はあまりに狭いものだから誰の目にも留まらないしこの目にも もはや言葉としては 映らなくなった只管に密度を増してゆく蔦葉らが 投げてくる言葉は唯ひとつ 「ここを去れ」と嘆息との虚しい往来──かつて纏わる煤を友愛の証に換えた煙突掃除夫たちのように寝転んで、空を彼方に見立ててみたなんだまだまだやれるじゃないか威嚇するように 指をゆっくりと手掌に握り込む乱雑に 感触だけは確かに 蔦を掴んで 限られた壁をよじ登ってみるそうだ僕らはいつだってこんな刹那と刹那を称揚するのさ #詩 #ポエム ダウンロード copy #詩 #ポエム 16 ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います! サポート