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靴と声 【詩】

言葉は揃えても
靴は揃えなかった
ひっくり返った片割れ
あさっての方を向いた片割れ
ねじれる ねじれたままにする
その選択が
旅をするかしないかの臨界点になる

「空の高さを知るには
 分度器と赤い風船が必要です」
  とかいう 思い込みの定理

アン・オー 腕を上に
心を楕円に保ったままで
広がった 澄み切った 己の内で踊れ
巨人の創生とか 神体の宇宙とか
遺伝子の綻びより生まれし妄想は
なぜだろう
つま先の接地点に収束し
わたしの明日を描き始める

分かるだろう 欲しいのは
周波数のピタリと合う声でなく
人の賛辞を引き出す声でなく
ただこの空を震わせる声だ
雲を蹴散らし 新たな雲を引き寄せ
この空を 大きく大きく 掻き回す声だ

大きくもない 正しくもない 声は
不揃いの靴と手を取り
旅だ 旅だと はしゃぎ
蒸発する どこまでも

無責任に愛せよ この空のこと
言葉ならば 添えるだけに
無制限に愛せよ この旅のこと


#詩 #ポエム

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