見出し画像

永遠の鈍色の内 【詩】

雨だれ 七色
次の粒が落ちるまでの
期待の色と 中間色の もどかしい
望んだものは 手に入らない 当然
意識は 数秒さかのぼって
他の色を欲しがるものだ

雨だれ カスミ草
主役の不在を嘆いた人の
期待の花と 世間知らずの くだらない
確固たるものは 目に映らない 当然
意識は 勝手に先回って
他の花を飾り立てているものだ

倉庫の天井のような空
見上げるのをやめたら
右手に握られていたドライフラワーに
微かな波音が駆け巡った
それはもう 捨てるにも愛するにも事足りた
完璧なる色の花

遠く遠くに掛かった虹に
鈍色がない理由をずっと考えていた
波長だとか 屈折率だとか
「言い訳」は決して口にしないと決めて

雲はもくもくと沈黙

ああ そうか
無造作に積み上げられた
コンクリート片を
蹴り上げて
夜空に散りばめたかったんだ

星々に名を付けるのはもううんざりだから

雨だれ 足音
無機質になればなるほど
期待に色気づく生の 愚かしく懐かしい
胸にあるものは どれも素晴らしい 当然
意識は 永遠の空を飛び交って
全ての色をただ旗印にするものだ


#詩 #ポエム

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!