即興詩みっつ〈ブリザード〉
(2023/1/24)
吹雪いたのは何処だったか
緑土でもない枯野でもない
日常にコンクリートを敷き詰め
ペンキをぶちまけた無様な庭で
墓石もどきに腰をおろす
その日たまたま震えていた俺を
歳月という名の巨人の眼が
掠めて素気なく通り過ぎるまでの時間
凪こそがずっと痛かった
乾いた缶を何処に打ちつける
◇
(2023/1/26)
対岸の木を見つめる人も
シンクの茶碗を見おろす人も
みな深い目の色をしてるから
水はきっと生きているのでしょう
◇
(2023/1/26)
氷湖が最果ての地だ
もうギリギリとしか鳴らぬヴィオロン
弦ふたつを押しつぶし
喉を切るように弓を引く
耳元のやかましさ 断絶された
死を前にして
こんな音が
愛しい人らに届かないことに
分け隔てなく安堵した
僕は犀になる
僕は犀になる
この吹雪に
哮るように
呻くように
◇
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