微BL【エッセイ】
本を読まねば死ぬくらいのところまで来ていた。決して時間的余裕が生まれたわけではなかったが、隙間時間を見つけて小説を開くようにした。正直いつ死んでも仕方ないとは思っているが、回避できる死ならば回避しようと動くくらいには執着もある。
話はいきなり飛躍するが、森茉莉、長野まゆみ、凪良ゆうの3人を僕は一本の線で繋ぐ。系譜とまでは言い切らない。あくまで「僕は」ということなので、細かいアレコレや異論があってもご容赦願いたい。イチ読者の雑感でしかないが「BL×耽美×日常」ということなのだろう。凪良氏は現代の作家らしく出版社レーベルごとに作風を変えているが、見ている世界は前者2人と大きく変わらないのではないかと推測する。
日常に疲れて書を開くとき、僕はたいていBL漫画家の日高ショーコさんの作品か、上の御三方の誰かの作品を選ぶ。昨今量産されているBLのせわしなさとは縁遠く、作品世界にゆったりとした時が流れている。
そして最近は長野まゆみさんをよく読んでいた。
『左近の桜』シリーズは、男色家の連れ込み宿を生業としている一家の長男・桜蔵(16歳)が生者死者問わず色男たちに翻弄される短編連作小説である。
『レモンタルト』は早逝した姉の夫、つまり義兄に恋慕を寄せてしまう弟の話。こちらの主人公も巻き込まれて体質で、義兄ではなく他の様々な男たちに思われ翻弄される。
どちらの作品も官能描写は多くなく、あったとしても淡々と限定的に描かれる。登場人物の心情も物語叙述の中にサラッと書かれたりしている。抑制の美、節制の美ということなのだろう。口コミを見るとそれが不親切と思う人もいるようだが、日常的な言語の圧迫に疲弊している僕にとって、その隙間は非常に心地よいものだ。
読む時間ができたのだから、そろそろ書く時間をとも思うのだが、、、10読んで1書くくらいのバランスでやってきていたので、モチベーションだけが煽られてなかなか書き出すには至らない。
長野まゆみさんの真似事ではないが、掌編連作の微BLなんかも書けたらいいなと、ぼんやりと思い描いている。
ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!