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即興詩みっつ〈若者〉

(2023/1/14)

鏡張りのビルが切り取る

窮屈なますの内にさえ

きっとそれはあるはずと

流れる雲に首を振り

落ちゆく夕陽に眉をしかめた

引き継いできたはずのものは

すっかり失われてしまった

無味の眺望に打ちひしがれて

ありもしない里へ帰ろう

ああそんなところにいたのかい

探し物をする人の

疲れた顔だ


(2023/1/16)

籠から飛び立った鳥は

二度と帰ってきません

部屋で佇んでいるつもりのあなたも

そこで待ってはいないのですから


(2023/1/17)

あなたは 嘘つきだ

あの人もその人も 嘘つきだ

駅舎

立ち尽くす嘘の樹海に

風が吹き荒ぶ──まだ剥がれない

不意になだれ込む車輪の群

仰々しいレールの下で

砂礫と死んだ根の集落が

ひとしれず真を震わせていた

生きることは足裏に託そう

散々嘘をついてきた  わたしは

ようやく息と地水を吸った


#詩 #ポエム

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!