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Photo by
ken_kohira
即興詩みっつ〈若者〉
(2023/1/14)
鏡張りのビルが切り取る
窮屈な升の内にさえ
きっとそれはあるはずと
流れる雲に首を振り
落ちゆく夕陽に眉をしかめた
引き継いできたはずのものは
すっかり失われてしまった
無味の眺望に打ちひしがれて
ありもしない里へ帰ろう
ああそんなところにいたのかい
探し物をする人の
疲れた顔だ
◇
(2023/1/16)
籠から飛び立った鳥は
二度と帰ってきません
部屋で佇んでいるつもりのあなたも
そこで待ってはいないのですから
◇
(2023/1/17)
あなたは 嘘つきだ
あの人もその人も 嘘つきだ
駅舎
立ち尽くす嘘の樹海に
風が吹き荒ぶ──まだ剥がれない
不意になだれ込む車輪の群
仰々しいレールの下で
砂礫と死んだ根の集落が
ひとしれず真を震わせていた
生きることは足裏に託そう
散々嘘をついてきた わたしは
ようやく息と地水を吸った
◇
ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!