Music! by Yugi Kim

A:今日の曲は、「Shu Shu Poh Poh(=しゅっしゅっぽっぽ)」です。
B:随分と汽笛が鳴りそうなタイトルだねえ。
 オブラディオブラダみたいなアフリカのありがたい言葉?
A:いやいや。聞けばあんたでもわかるわよ。
B:どれどれ。何?itunesの R&B ランキングで1位ってか。すごいねえ。わしも昔はB&Bでベッドとかブレックファストとかもみじ饅頭とかなあ。
A:ああ。そういうのいいから、さっさとして。
B:へいへい。じゃあ、俺がかけてやりましょう。ポチっとな。
A:なによ。サブスクの癖に・・・
B:なんだよ。サブスクにまた文句いうのかよ。セロニアスかよ。コルトレーン押し付けるぞぉ。
A:うるさい!静かに。

 で、どう?このリフ?
B:いやあ、まじで汽車じゃのお。
 でも、なんか宇宙に飛んでいきそうな汽車だけど。
A:カンパネルラか?まあ、わかるけど。
B:で、この汽車はどこまで行くのかね、君?
A:何よ。顔からして無賃乗車みたいなくせに偉そうに。サブスクの癖に。
B:なんだよー。そんな言い方ないだろ。
 お前だって俺のサブスクであのちゃんとか聴いてたくせに!
A:まあ、それはともかく。
 実はこの曲ね、ライブで前に聞いたことがあったんだ。
B:へえ。珍しい。お前でもこういうライブとか行くんだ。
A:何よ?悪い?
B:いや、なんかイメージと違うから。
A:でね、その時のライブではこの曲。
 もっと昔ながらの地球上を走る蒸気機関車って感じだったんだよね。サックスとベースのトリオで。
B:へえ、この感じからすると、もっと近現代的なイメージだあね。いや、しかし。この曲をライブでやったらなんか盛り上がりそう。
A:そうなのよ。っていうかね。私R&Bっていまいちわかんないんだけどね。
B:俺も、B&Gとかなら「海とともに生きているんだね」って感じでなじみがあるんだけど。
A:まあ、あんたには、S&Gも、テツandトモも、同じようなもんだけど。
B:なんだよー。お前、タカ&トシをバカにしやがって。
A:で、この曲をライブで聞きながら思ったんだよね。音楽って、やっぱり楽しむもんだよなあって。
B:お?そう来たか、君。
A:だってね。最近の流行りの曲って、やれマイナー調で転調しまくってて。能天気なコード進行になんかいかないぞ、予定調和に流れないぞってことを良しとして、暗い自己批判的な歌詞とか、シニカルに自分を卑下するような歌詞とか、小難しい言葉を並べてありきたりなラブソングからいかに遠く離れていけるかを競っているような。
B:ああ、例えば「〇〇〇〇ー〇」とかね。
A:いや、あれは別にいいんだけど。
 いや、そういう曲も好きだしサブスクなら聞くんだけど。
B:ほおれ、やっぱりサブス・
A:でもさ、そうやって音楽を知的に考察したり、自虐的に自己を見つめ直すようなマントヒヒのカウンセラーみたいな聞き方してたらさ、いい加減嫌になってきたりするときあるじゃん。
B:ああ、そうねえ。マントヒヒ?
A:で、このアルバムを全部聞いているとさ、っていうかこのアルバムのタイトルも「Music!」なんて潔さだけどさ、もうごちゃごちゃ理屈をこねるんじゃなくて、音を楽しめって感じなわけよ。
B:ははあん。他はどんな曲なのよ。
A:なんかね、ライブで1回聞いたって言ったでしょ。そのライブでまだ曲名も決まっていない時のこのアルバム収録曲が演奏されていたんだけど、今回このアルバムを聞いたらさ、それを全部覚えていたんだよね。すごくない?
B:いやあ、もち曲が少ないってこと?
A:じゃなくて、私の拙い記憶力でも、半年近く前のライブの曲を覚えていられたってこと。聞いたら、「あ、この曲あの時のライブでやっていたな」とすぐ思い出したの。それも何曲も。
B:それは、すごいねえ。それもマントヒヒのカウンセラー効果なの?
A:いや、マントヒヒはどうでもいいんだけど。
 それぐらい、印象に残るリフが満載なわけよ。
B:リフレインが叫んでいるんだね。
A:でね、よく聞くと結構しつこいのよ、これが。
B:まあ、リフっていうぐらいだからね。リスだったらかわいい、くらいですむけど、マントヒヒだったら。
A:で、そのリフが癖になってきた頃には、曲の楽しさにぶち込まれていくのよ。
B:なるほどねえ。それは、松田聖子でいうところのピンクのモーツァルトみたいな感じかな。
A:うん、そうね。全然わかんないけど。でも、とにかく音楽って楽しんでなんぼ、っていうのが伝わってくるのよ。
B:あんた、いつも楽しくなさそうにしているくせにねえ。
A:は!?なんか言ったか、貴様。
B:いやいやいやあ。それはそうと、このYugi Kimって誰よ?
A:いや、実は私のちょっとした知り合いなんだけど。
 これが昔はなかなかに大変な子だったのよ。
 授業中に校庭の池で立ちションしちゃったりとか・・・。
 それが今やこんなに大きくなって、綺麗なピアノも弾いちゃったりして。


しかーし。このアルバムには重大な欠点がある!
B:え?何が??
A:それは、、、。まあ、あんたには関係ないか。
B:何だよ、途中まで言いかけて止めるなんて。らしくないぞー。
A:そう。そうなのよね。らしく、ないのよ。
B:ん?どうした?
A:まあ、いいわ。あんたはまたサブスクしてなさい。
B:何だよ。どんだけサブスク、ディスるんだよ
A:私やっぱりガマンできないわ。ちょっと調べなきゃ。えーっと、次のライブが…っと。再来週の土曜日か。横浜の日吉ならすぐ行けるか。
B:え?!ライブ、またあるの?
A:うん。予約するけど。あんたも行く?
B:はい!もしくはイエス!
お前と一緒にライブ行くなんて、大事MANブラザーズバンド以来だねえ。いやあ、オレたちまだまだラブラブだもんねえ。
A:うーん。やっぱりライブ聞きたくなるわー。


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