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異境にて(詩集 虹と鉛管)

 異境にて
 誰も待たない

 わたくしを棄てた苛政の軋轢も底知れぬ圧政も
 そこまでは待てないとただ口ごもるだけ

 あなたの淫靡なくちびるのせいで
 この秋はどこかしら異郷の歌をうたうのだという

 砂の聖堂をひとり降りる
 高貴な失態を償うためには

 誰も待たない
 空は微かに身じろぎ擬装する

 わたくしの廃墟たちよ
 それでも待ち続けるのか

 微動してそして
 夕闇が降りしきるこの黄色いたそがれが似合うこの街に

 あなたは左の肩を祈るように
 わたくしの胸にあずけた

 海に乳色の霧が深い

(以下略)

全文は、詩集「虹と鉛管」(有料分)に所収

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