『The Fat Years』 Chan Koonchung

Chan Koonchung(陳冠中)氏が書いた『The Fat Years』(原題は『盛世—中國2013年』邦題は『しあわせ中国―盛世2013年』和訳があって一安心)を読了して、忘れることを意識的に減らしたい気持ちになったので、久しぶりにnoteを書くことにした。

最近ジョージ・オーウェルの『1984』を再度読んだこと、コロナで在宅時間が増えたこと(緊急事態宣言が解除されたときでもほとんど外出していない)、中国全人代で香港に国家安全法の導入が決まったこと(唯一反対票を投じた人の意図と心境が気になる...)、天安門事件の日がまたやってきたこと... 様々な出来事が重なり、数週間前にアマゾンで4冊の本を衝動買いした。すべて中国では禁書になっている。

1冊目『The Fat Years』のメインプロットに全国レベルの集団忘却があったので、なんとなく自分の記憶を守る意味でこのnoteを書いている。

本のあらすじは紀伊國屋書店より引用させて頂く...

二〇一三年、中国は絶大なる繁栄を極めていた。しかし背後に政府の驚くべき計画が……。中国の現実を浮彫りにする衝撃の近未来小説。

良い地獄か、偽の天国か──中国の将来を予言する衝撃の近未来小説。二〇一三年、中国は太平と繁栄を謳歌し、人々はみな幸福感に溢れている。しかし、その幸福感を偽りだと感じるごくわずかな人たちが存在していた。そして、彼らにより明らかとなったのは、政府の驚くべき秘密計画だった……。党内結社の存在、地下教会、環境破壊──中国の水面下に蠢くさまざまな現実を浮彫りにする異色長編。

作者の陳冠中氏について少し調べた。1952年に上海生まれ、香港育ちで、40歳のときに拠点を香港から北京に移し2年滞在し、そして台北で6年間暮らしたあとに、20年以上北京在住。今年3月末に最新作『北京零公里』が出版されてからはずっと香港にいるらしい。大学では社会学を学び、作家になる前は香港で新聞記者の仕事をされていた。

『盛世—中國2013年』は、天安門事件の言及もあるし、フィクションでありながら共産党への批判や皮肉も含まれているので、中国語の小説としては香港(そろそろ香港でも出版できなくなるかもしれないが... )と台湾でしか出版できなかった。(中国語で読みたかったが、東京でどうしたら入手できるか調べないとわからず、アマゾンでワンクリックで買えてしまう英語版に逃げた...)面白いことに、中国のサーチエンジンBaiduで検索したら、この小説の原文がネットに転がっているようす... 

新作を含めて今後陳冠中の他の代表作も読みたくなったが、次は同時に衝動買いしたMa Jian(馬健)氏の著作を読もうと思う!

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