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『サル痘』と『自己免疫性水疱症』の症状について軽く整理したよ!

流行に敏感な方は既にご存知の『サル痘』(さるとう)。
英語だと『monkeypox』と言うらしい。

『サル痘』は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患である。
少ないながらも多数の国で感染者が確認されており、今後の動向が注視されている。

概要については既にニュースになっているような記事を見ていただければわかるとおりだと思うが、いろいろとハッキリしたことは不明だ。
ただ、なんとなくその発生状況に疑念があり、それは専門家も同じような見解のようで。

つまり、『いろんな国で一気に出過ぎてない?』ということ。

そして、昨年既に行われていたとされるビルゲイツさんの関わる事前シミュレーションなども考慮され、胡散臭い印象になっている。

そこで疑われているのが『実際はサル痘ではなく自己免疫性水疱症ではないか?』ということ。

◇◇◇

今回の記事ではそのふたつについて簡単に症状等を整理してみようと思う。症状が違えばわかりやすいではないか。

以下、それぞれの情報を連続して引用する。
(長いし重要箇所を後で抜粋するので『症状比較』まで飛ばしてもOK)


◆サル痘

感染源・感染経路
サル痘ウイルスの動物からヒトへの感染経路は、感染動物に咬まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触による感染が確認されている。自然界ではげっ歯類が宿主と考えられているが、自然界におけるサイクルは現時点では不明である。
 ヒトからヒトへの感染は稀であるが、濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があり(Aaron TF. 2005, Aisling V. 2020)、患者の飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染があると考えられている。

臨床像
サル痘の潜伏期間は5~21日(通常7~14日)とされる(WHO, 2021)。潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現する。発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がる。初期は平坦であるが、水疱、膿疱化し痂皮化した後、発症から2~4週間で治癒する(写真2)。発疹は皮膚だけではなく、口腔、陰部の粘膜、結膜や角膜にも生じることがあるが、特に初期においては水痘や麻しん、梅毒などのその他の発疹症との鑑別が困難なことがある。リンパ節腫脹を呈する頻度が高く、類似した皮膚病変を示す天然痘との鑑別に有用とされる(Andrea M. 2014)。

致命率は0~11%と報告され(Skelenovska N, 2018)、特に小児において高い傾向にある(Jezek Z, 1987)。ただし、先進国では死亡例は報告されていない。

サル痘とは 国立感染症研究所 [2022.05.23 引用]
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

◆自己免疫性水疱症(天疱瘡)

1.概要

天疱瘡は、皮膚・粘膜に病変が見られる自己免疫性水疱性疾患である。病理組織学的に表皮細胞間の接着が障害される結果生じる棘融解(acantholysis)による表皮内水疱形成を認め、免疫病理学的に表皮細胞膜表面に対する自己抗体が皮膚組織に沈着する、あるいは循環血中に認められることを特徴とする疾患と定義される。天疱瘡抗原蛋白は、表皮細胞間接着に重要な役割を持つカドヘリン型細胞間接着因子、デスモグレインである。
天疱瘡は、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、その他の3型に大別される。その他として、腫瘍随伴性天疱瘡、尋常性天疱瘡の亜型である増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡の亜型である紅斑性天疱瘡、疱疹状天疱瘡、薬剤誘発性天疱瘡などが知られる。

2.原因

天疱瘡の基本的な病態生理は、IgG自己抗体が表皮細胞間接着因子デスモグレインに結合し、その接着機能を阻害するために水疱が誘導されると考えられる。

3.症状

(1)尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris)
天疱瘡の中で最も頻度が高い。特徴的な臨床所見は、口腔粘膜に認められる疼痛を伴う難治性のびらん、潰瘍である。口腔粘膜症状は頻度の高い初発症状であり、重症例では摂食不良となる。口腔粘膜以外に、口唇、咽頭、喉頭、食道、眼瞼結膜、膣などの重層扁平上皮が侵される。約半数の症例で、口腔粘膜のみならず皮膚にも、弛緩性水疱、びらんを生じる。隣接したびらんが融合して大きな局面を形成し、強い痛みを引き起こすこともある。皮疹の好発部位は、頭部、腋窩、鼠径部、上背部、殿部などの圧力のかかる部位である。一見正常な部位に圧力をかけると表皮が剥離し、びらんを呈する(ニコルスキー現象)。

(2)落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus)
臨床的特徴は、皮膚に生じる薄い鱗屑、痂皮を伴った紅斑、弛緩性水疱、びらんである。爪甲大までの小紅斑が多いが、まれに広範囲な局面となり、紅皮症様となることがある。好発部位は、頭部、顔面、胸、背などのいわゆる脂漏部位で、口腔など粘膜病変を見ることはほとんどない。ニコルスキー現象も見られる。

(3)腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus)
悪性又は良性の新生物(主にリンパ球系増殖性疾患)に伴い、口腔を中心に広範囲の粘膜部にびらんを生じ、赤色口唇に特徴的な血痂を伴う。皮膚症状は緊満性水疱、浮腫性紅斑、紫斑など多彩になりうる。閉塞性細気管支炎の合併に注意が必要である。

天疱瘡(指定難病35) – 難病情報センター [2022.05.23 引用]
https://www.nanbyou.or.jp/entry/300

◆症状比較

症状のみ改めて抜粋し比較してみる。

『サル痘』

潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現する。発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がる。初期は平坦であるが、水疱、膿疱化し痂皮化した後、発症から2~4週間で治癒する(写真2)。発疹は皮膚だけではなく、口腔、陰部の粘膜、結膜や角膜にも生じることがあるが、特に初期においては水痘や麻しん、梅毒などのその他の発疹症との鑑別が困難なことがある。リンパ節腫脹を呈する頻度が高く、類似した皮膚病変を示す天然痘との鑑別に有用とされる(Andrea M. 2014)。

サル痘とは 国立感染症研究所 [2022.05.23 引用]
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html

『尋常性天疱瘡』(自己免疫性水疱症の中で最も頻度が高いもの)

特徴的な臨床所見は、口腔粘膜に認められる疼痛を伴う難治性のびらん、潰瘍である。口腔粘膜症状は頻度の高い初発症状であり、重症例では摂食不良となる。口腔粘膜以外に、口唇、咽頭、喉頭、食道、眼瞼結膜、膣などの重層扁平上皮が侵される。約半数の症例で、口腔粘膜のみならず皮膚にも、弛緩性水疱、びらんを生じる。隣接したびらんが融合して大きな局面を形成し、強い痛みを引き起こすこともある。皮疹の好発部位は、頭部、腋窩、鼠径部、上背部、殿部などの圧力のかかる部位である。一見正常な部位に圧力をかけると表皮が剥離し、びらんを呈する(ニコルスキー現象)。

天疱瘡(指定難病35) – 難病情報センター [2022.05.23 引用]
https://www.nanbyou.or.jp/entry/300

◇◇◇

臨床として切り分けできそうな違いは以下のあたりだろうか。

『潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現する。』(サル痘)

『口腔粘膜症状は頻度の高い初発症状であり、重症例では摂食不良となる。』(自己免疫性水疱症)

サル痘で見られる発熱については自己免疫性水疱症では他のサイトで『まれである』とされていた。

初期症状として、発熱・頭痛などがあるか、それが無く口腔粘膜や皮膚に症状があるか。このあたりがポイントになるかもしれない。
なお、水疱の箇所については違いがありそうだが、判別は難しいかもしれない。

私はプロではないので、上記については個人の憶測である。


◆おわりに

まあまだ日本で発症者が出たわけでもない。

しかし、5/20に厚労省から各自治体へ『疑わしいものは報告』と指示がされたようであり、『PCR検査が有用』という趣旨が記載されていた。

まあ、医者は臨床で切り分けするだろうから『疑わしいものは即PCR』とはならないと思うが、なんとなく不安がある。

ビルゲイツさんの言う『次のパンデミック』がコレでない事を願うばかりだ。
というか、なんであれもう勘弁なのだが。


[2022.06.13 追記]
ちょっと状況が変わったので、新しい記事を書きました。
CDCのガイダンスとして『サル痘』での発熱等は必ずしもあるとは限らない。ということになりました。臨床での切り分けは難しいみたいですね。


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