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新型コロナ・2023年8月時点で全体の約50%が感染済と推定。

最近、SNSで抗N抗体保有割合に触れたものを見ました。
新しい情報が厚労省の9/8の資料中に示されていたようです。

個人的に抗体保有割合は『実際の感染割合』の目安と考えており、興味があります。

今回の記事では、資料から関連部を抜粋引用し軽く所感を記したいと思います。


◆厚労省の資料

該当する資料は『令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について』というpdfです。リンクは以下。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001144459.pdf

令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について
[2023.09.11 引用]
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001144459.pdf

おそらくこの資料は今後のワクチン戦略(コロナ対策)の論拠となるもので、『ハイブリッド免疫の有効性の推定』などが示されていることから、それを期待しているっぽいことが伺えます。

そのための参考として『抗体保有割合』が提示されていたものと考えます。

なお、資料自体は全55ページと長く内容も濃いです。
コロナ・ワクチン関連で色々と公式見解が整理されていましたので、興味のある方は目を通してみてもいいかと思います。


◆抗体保有割合

抗体保有割合に関するページをスクショします。
グラフ・文字が小さいため、続いてそれぞれを引用します。

令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について[p.20]
抗N抗体陽性割合
抗S抗体陽性割合

新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス の 抗 体 保 有 状 況 調 査 結 果 ( 民 間 検 査 機 関 で の 検 査 用 検 体 の 残 余 血 液 を 用 い た 調 査 ) ( 速 報 )

○ 感染症法に基づく積極的疫学調査として、令和5年7月22日~8月21日に診療所で採取された検査用検体の残余血液を用いて、小児・ 高齢者を含む各年齢群における抗体保有状況を調査。調査の結果、国内22府県から合計4,235検体を収集。

○ 全体としては抗N抗体(※1)保有割合は51.1% (95%CI: 49. 6-52.6%)、抗S抗体(※2)保有割合は92.9% (92.1-93.7%)(速報値)。

(※1) ワクチンを接種した場合は、抗S抗体のみが陽性となる。
(※2) 新型コロナウイルスに感染した場合は、抗N抗体と抗S抗体の両方が陽性になる。

○ 年齢群別では、抗N抗体保有率は5~29歳では70%前後と若年者で高い傾向である一方、高齢者では低かった。抗S抗体は、5歳以上の 年代で85%を超えており、0ー4歳の区分でも約75%が保有していた。

【調査概要】

• 対象者 調査期間中に診療所で血液検体を採取された者 4,235名(各年齢層 385名)

• 年齢層区分 0-4歳、5-9歳、10-14歳、15-19歳、20-29歳、30-39歳、40-49歳、50-59歳、60-69歳、70-79歳、80歳以上(11区分)

• 測定項目 抗N抗体、抗S抗体

• 統計分析 年齢群毎の抗体保有割合と95%信頼区間(CI)の推定等。信頼区間はBinomial exact CIで構成

• 受託検査機関 株式会社 ファルコバイオシステムズ

• 実施主体 厚生労働省(分析機関:国立感染症研究所)

【留意事項】

• 速報結果の解釈に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

✓ 本調査は西日本(中部地方6県、近畿地方7府県、中国地方5県、四国地方4県)の医療機関からの検体に偏っており、我が国全体の抗体保有割合とは異なる可能性がある点

✓ 今回の測定結果は、年齢群毎に、陽性判定された検体数を全検体数で割った値であり、単純集計にて求めたものである点

✓ 本調査は、各年齢群の抗体保有割合を把握を行う目的で実施しており、性別、年齢、調査地域に依存する偏りを補正しておらず、基準人口の抗体保有割合とは異なる可能性がある 点(今後、性別、年齢、調査地域に依存する偏りを補正する予定)

✓ 結果は、性別、年齢、調査地域に依存する偏りの補正後も、被検者の居住地区、予防行動、受診動機、基礎疾患や、診療所毎の特性などの偏りが生じている可能性がある点

別のページに過去の結果も記されていました。
以下に引用します。

【免疫の保有状態について】
○ 献血残余検体を用いた調査(16~69歳を対象)によると、抗N抗体保有率は、令和4年11月:28.6%、令和5年2月:42.0%、令 和5年5月:42.8%(未補正値)であった。また、国立感染症研究所が実施した一般人口における前向きコホート研究によると、令和 5年2月時点で、抗N抗体保有率は、全体で30.9%であり、年齢別では20歳代で最も高く(約50%程度)、年齢が高くなるにつれ低 下する傾向(60-69歳で約25%等)がみられた。

令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種について[p.36]

◆まとめと所感

前回の調査では対象の年齢層が限定されていましたが、今回は幅広く調査されています。

で、全体としての割合(抗N抗体)は『51.1%』。
約半数が感染済。

期間は『令和5年7月22日~8月21日』で、西日本の調査なので、現在の第9波の感染者も結構含めたものと考えます。

個人的には思ったよりも低い印象でした。

◇◇◇

それにしても、抗体保有割合調査については釈然としない部分が毎回あるんですよね。

今回の場合、年齢層がほぼすべてになったのはいいですが、地域がなぜか西日本。タイミングとしても大きな変動のありそうなピークちょい前くらいの期間。

こういうのって、同じ条件でやらないと比較材料にしにくいんですけどね。わざとやってんのかもしれないですが。

ちなみに、ワクチン接種有無での結果が整理されていないのも大きな不満です。紐付けしてない訳はないでしょうから。

こういうのが不信感を生むのだと思うんですけどね。


◆おわりに

資料をざっくり見たところ、来年以降のワクチン接種の方向性として『重症化予防効果は1年以上一定程度持続する』という理由により『(年1回)高齢者及び重症化リスクの 高い者等』へ推奨する形となりそうです。

今回の抗体調査結果は、高齢者の抗N抗体保有割合が低いことを示し、上記の方向性を支持するもののように見えます。

若者は感染、高齢者はワクチン、それでとにかく抗体を得ましょう。って感じでしょうかね。

◇◇◇

ちなみに、資料中で『感染による重症化率・致死率』『ワクチン接種による副反応割合』等が示されていましたが、共に短期的な評価のように思います。

引き続き懸念されている高い超過死亡率は、どちらか、または、両方が過小評価であることを示すものだと思います。

そこの分析は必須だと思うんですけどね。

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