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『感染対策は無駄(有害)』について。

最近SNSで『やはり感染対策は無駄(有害)だった』という主張を見ました。

それは、直近の第9波の重傷者数が第8波比で減少していたというデータを根拠としていたものです。

私自身その可能性(感染対策が有害)は捨てていませんが、論拠が雑すぎるような気がしたので、ちょっと自分でも考えてみました。

以前似たような記事を書いたときと同様に『そんな簡単なもんでもなかろう』という結論なのですが、今回は個別具体的に書いてみようと思います。


◆重症者数で比較することの妥当性

SNSで引用されていたグラフの出自はわかりませんでしたが、元データは厚労省の統計によるものっぽい。

ざっくりと見たところ、たしかに統計的な重症者数および重症化率は第8波と比べて減ってるっぽい。

しかし、個人的にはコロナの被害を評価するために『重症者数』という統計を使用するのはちょっと違うと考えています。そのあたりは以下にまとめました。

上記記事を簡単に要約すると『重症化の定義がオミクロン後の実態に合っていない』ということです。

◇◇◇

もともと重症の定義は肺炎や呼吸不全を前提としていましたが、オミクロン後にそのような傾向は弱くなっています。

一般的に、短期的な呼吸器系疾患としてのリスクはオミクロンにより低下したと言えるでしょう。それは以下のように結果に現れています。
(5類前までのデータです。)

新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイト
[2023.11.02 引用]
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

◇◇◇

上記から、5類化は関係なく重症者数は低下傾向だったとわかります。

そして、重症者数は減っているのに死者数は増えているという事実が見えます。

まあつまり、コロナ被害を見るにあたり、重症者数はあまりあてにならないということでしょう。


◆第8波と比較することの妥当性

直近の第8波を比較対象とするのも間違っているように思います。
季節が違いますので。

一般的に冬の方が死にやすい(重症化しやすい)といった傾向はあると思います。

仮に比較するにしても、昨夏のピークを対象にするほうがいいでしょう。

ちなみに、今夏の死者数はまだ明らかではありませんが、第8波比では減少という結果になりそうな途中経過でした。


◆5類化による影響

5類化による変化として私たちは『マスク』を思いつくわけですが、それ以外にも変わったことはあるでしょう。

コロナ統計に影響しているものとして、個人的には以下のようなものを疑います。

  1. 感染者の受診控え

  2. 病院側の積極性低下

  3. 重症の定義変更
    (厚労省の指針は変わってないが、もともと各自治体等で統一されていなかったため。)

◇◇◇

上記のそれぞれにどれだけの影響があるのかわかりませんが、どれも被害統計としては下落するものだと考えています。特に個人的には『2.病院側の積極性低下』 が大きいように思っています。

というのも、おそらく5類化でコロナ補助金的なものが減額(または打ち切り)されていると思うんですよね。

当事者の方でないとわからないと思いますが、少なくとも積極的にコロナ対応をすることの『うま味』は減っているだろうと妄想します。
(無症状でも入院させていたという実態はあったと記憶しています。)

あまり考えたくないですが、そのような経営的な判断が統計に影響している可能性はあるでしょう。

そのような意味で、過去の重症者(入院者)数という統計自体が過大だったかもしれません。


◆変異株の特性

変異株の特性として、オミクロン以降のリスク低下は一般的に事実とされています。

それを前提とすれば、第8波と比較して第9波の被害(重症者)が少なかったところで不思議はありません。

今回それなりに増加したエリス(EG.5)は一部の研究者により『より普通の風邪に近づいたが、それだけに最悪』といった評価を受けていました。

◇◇◇

新型コロナの病態は研究されるにつれ、呼吸器、循環器、免疫、神経、といった順に懸念される影響が拡がっているように見えます。

そして、オミクロン以降も神経系への影響は変わらないという研究結果を見たことがあります。

それが本当であれば短期的なコロナ統計では被害が評価出来ません。

研究結果から類推される疾患、もしくは、コロナ後遺症、死亡者数の増加によりその被害は推定できるかもしれません。


◆おわりに

ということで、5類化前と後の統計を同列で比較するためには、色々と注意が必要だろうということです。

実際に感染対策が有害でそれをやめたことにより被害が減ったかはわかりませんが、結果がどちらにせよ重症者グラフだけではまったく説得力が足りないでしょう。

私の認識としては、過去のコロナ以外の多数の疾患の動向から感染対策には効果があると考えますが、コロナ統計からそれを判断するのは不可能に近いと考えています。

◇◇◇

それにしても、5類移行はその時点で統計的な被害軽減が約束されたものだったようにも思えますね。

そしてそれ以前の過大評価があるのだとしたら、超過死亡くらいしかマトモな指標は無くなります。

私はワクチンもそれに寄与していると疑っていますので、それも踏まえると実態把握は厳しいですね。

まったく。困ったものです。

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