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ウイルス飛沫『0.1μm』の感染リスクについて妄想する。

新型コロナウイルスのサイズは『直径0.1μm程度』と言われています。
マスクの網目サイズとの関連から語られることが多いですね。

それはさておき、『そもそも0.1μmにこだわる必要はあるのだろうか?』という疑問は結構前からありました。

私は『0.1μmをマスクで防ぐのが楽じゃないなら、そんなに重要視しなくていいんじゃないの?』という考え方です。

何か良いエビデンスでもあれば、と思っていましたがなかなか見つからないので、今回はそのあたりをまとめてみたいと思います。

半分妄想みたいなものですけど、よろしければどうぞ。


◆サイズのリスクを考える。

まず、『飛沫のサイズが小さい=ウイルスが少ない』という考え方は可能のように思えます。

飛沫を球体と仮定し、その直径と体積の関係について整理すると以下のようになります。(直径:0.1から5.0μmまで。)

球体の直径と体積と倍率

直径0.1μmを基準にすると5.0μmの体積は12万5千倍になります。

単純に体積で考えるなら『直径0.1μmを12万5千個』と『直径5.0μmを1個』でリスクは変わりません。

もちろん、ウイルスの含有量や肺胞への到達の影響等を考えると、全然そんなシンプルなものではないと思いますが、相対的なリスクで考えれば『大きな飛沫のほうが圧倒的に発症リスクが高い』と言えるでしょう。

とはいえ、『生じている飛沫(エアロゾル)は0.1μm程度のものが大部分』であれば『0.1μmを意識すること』は重要です。

しかし、どうやらそういう訳でもなさそうです。


◆発生する飛沫サイズの分布

ヒトから発生する飛沫サイズの分布について、論文から以下に引用します。
(A,B,C,Dはそれぞれ別の人。)

SARS-CoV-2 のエアロゾル感染: 物理的原理と意味 - PMC
[2022.12.05 引用]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7719704/

『飛沫のサイズ分布』については諸説あり、論文ごとに結構異なる印象です。上記の通り『人によってバラつきが大きい』というのが正しいのでしょう。

個人的に、上記以外のデータも見たうえで『直径0.1μmの飛沫が多くを占めている』という傾向は見られませんでした。

つまり、小さな飛沫は『ウイルス含有量が少なく、生じる飛沫としての割合もそれほど多くない』と言えます。


◆そもそも小さな飛沫にウイルスが含まれるのか?

飛沫のサイズ分布と共に知りたいのは『ウイルスの含有率分布』です。

あまり良い情報を見つけることが出来ていませんが、以下の情報は『小さい飛沫にはウイルスが含まる可能性は低い』ということを示しています。

病院の飛沫中の新型コロナウイルスについては、<1 μmの液滴では検出されず、1–4 μmで>4 μmより高いもしくは同等だったという報告12)、<0.25–>2.5 μmで検出されたものの明らかな粒径分布に関する傾向はなかったという報告13)等がありますが、これらは今のところ査読前原稿であり、また例数も少ないため、今後の知見の集積が待たれるところです。

新型コロナウイルス情報 | 室内環境学会
[2022.12.05 引用]
http://www.siej.org/sub/sarscov2v1.html

10 μm の飛沫 1 個には(π/6) ×10−3 個のウイルスしか含まれていない,いい換えれば, 約 2000 個中 1 個の飛沫にしかウイルスが含まれていな い。100 μm の飛沫には 2 個のうちの 1 個にウイルスが, 1000 μm の飛沫 1 個には,(π/6)×103 個,すなわち約 500 個のウイルスが含まれている。このようにウイルス数は 飛沫の大きさの 3 乗(飛沫の体積)に比例するので,小 さい飛沫中のウイルス数は極端に少ない。

新型コロナウイルス COVID-19 のエアロゾル感染の可能性―微粒子工学の立場からの考察―[2022.12.05 引用]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sptj/57/10/57_57.526/_pdf

◇◇◇

上に引用したものは、全体的に見たうえでそこまで説得力のあるものとも思えないのですが、傾向としては大きく間違っていないように思えるのです。

通常の呼吸で生じる程度の飛沫(1μm以下)でも高確率で発症するのなら、電車通勤・通学率の高い都道府県とその他で明らかな違いが出そうなものですが、実際はそうとも限らないんですよね。


◆おわりに

つまり、
『直径1μm以下程度の飛沫は非常にリスクが低い。』

これが私の妄想です。

そして、もし仮にマスクを着けるにしても『不織布マスク(PFE99%)にこだわらずに、もっと息がしやすいマスクを使ったほうが良いんじゃないの?』ということです。

そのあたりも書いておきたいところですが、長くなりましたのでまた次回!

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