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ワクチン接種は『未接種より高リスクになる場合がある』ことが英国の公式データから判明か?

先日Xのタイムラインに『新型コロナワクチン接種有無での全死因死亡率』についてのグラフが流れてきました。

それを見る限り『総じて接種ありのほうが有利』といった結果でしたが、どのようなデータを整理したものか不明でした。

元データを確認したところ英国の国家統計局(ONS)のもので、なんと、接種回数・年齢層別での全死因死亡率が1か月毎に整理されていたものでした。

こんなものがあったとは!
知りたかったやつだ!

◇◇◇

ということで、元データを使ってグラフ化したものを今回まとめておこうと思います。

個人的には、かなり気になる結果になっています。

なお、自分で確認したい人向けに最初に色々と説明をします。
どのようにグラフ化したのかは重要だと思うので丁寧にやります。

ONSのデータについて既に知っている方や、早く結果が見たい方はグラフまで飛ばしていただければと思います。


◆国家統計局(ONS)の元データについて

元データのリンクは以下。
なお、当記事の引用部およびグラフは以下のリンク、および、リンク先からのエクセルが元になったもので、2024.01.04時点のものです。
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

データについては以下のような説明がありました。

このデータセットについて
コロナウイルス(COVID-19)を含む死亡、非COVID-19による死亡および全死亡の年齢標準化死亡率をワクチン接種の有無別に年齢階級別に示したもの。

データはもちろん最新データ『Deaths occurring between 1 April 2021 and 31 May 2023 edition of this dataset』を使用しました。

エクセルのリンクは以下。

https://www.ons.gov.uk/file?uri=/peoplepopulationandcommunity/birthsdeathsandmarriages/deaths/datasets/deathsbyvaccinationstatusengland/deathsoccurringbetween1april2021and31may2023/referencetableaug2023.xlsx

◇◇◇

エクセルの中身はデータシートとして5種類あって、以下の感じです。

<Table1>
全死因死亡、COVID-19が関与した死亡、COVID-19が関与しなかった死亡のワクチン接種状況別年齢標準化死亡率、10万人年当たり、イングランド、2021年4月1日~2023年5月31日に死亡した人

<Table2>
全死因死亡、COVID-19が関与した死亡、COVID-19が関与しなかった死亡の年齢階級別月齢標準化死亡率、10万人年当たり、イングランド、2021年4月1日から2023年5月31日までに死亡した人

<Table3>
全死因死亡、COVID-19が関与した死亡およびCOVID-19が関与しなかった死亡のワクチン接種状況別年齢標準化死亡率(男女別)、10万人年当たり、イングランド、2021年4月1日から2023年5月31日までに発生した死亡

<Table4>
全死因死亡およびCOVID-19を含む死亡の年齢群別年齢標準化死亡率(男女別)、10万人年当たり、イングランド、2021年4月1日から2023年5月31日までに発生した死亡数

<Table5>
年齢階級別「ワクチン未接種」および「ワクチン接種歴あり」の全登録死亡者数の月別カウント;全死因死亡およびCOVID-19を含む死亡について、2021年4月1日から2023年5月31日までに発生した死亡、イングランド

今回使用したデータは<Table2>で、その中でも全死因死亡のみを対象としています。

なお、中身は以下のような感じ。


◆注意点

・データシート内で分かれている年齢階級は以下ですが、比較的特徴があると思われる以下の『〇』が示す3グループをグラフ化の対象としました。

単純に手間だから対象を絞っただけでチェリーピッキングの意図はありません。

・ワクチン接種状況は以下のように分かれています。

・期間はデータが存在する範囲すべての『2021年4月1日から2023年5月31日』としました。

・死亡率は10万人当たりに調整された数値であり実数ではありません。
エクセルの『Age-standardised mortality rate / 100,000 person-years(年齢標準化死亡率/10万人)』をそのまま使用しています。同一年齢層で相対的な比較をするなら問題ないでしょう。

・死亡率の数値は年齢層ごとに大きく異なるため、視認性を考え年齢層でグラフを分けました。また、差をわかりやすくするため、グラフの縦軸は対数にし、表示範囲となる最低、最高値は調整しています。

・グラフの線の色分けは以下です。


◆年齢層別死亡率グラフ

以下に3グループのグラフを順に示します。
縦軸が死亡率(調整された10万人当たりの死亡数)で、横軸が期間です。

・全死因死亡率:18-39歳


・全死因死亡率:50-59歳


・全死因死亡率:70-79歳


◆まとめ

ワクチン接種無しと比較した場合の傾向を以下にまとめます。
(特に気になる点は太字)

<18-39歳>
・1回接種:期間に関係なく悪い。
・2,3回接種:効果が落ちながらも2023年5月まで優位である。
・4回接種:明らかに悪い。

<50-59歳>
・1回接種:期間に関係なく悪い。
・2回接種:効果があったが途中から逆効果となり2023年5月では接種無しと同水準。
・3回接種:効果が落ちながらも2023年5月まで優位である。
・4回接種:当初悪かったが6か月程度で優位になり2023年5月まで続く。

<70-79歳>
・1回接種:期間に関係なく悪い。
・2,3回接種:効果があったが7か月程度で逆効果となり2023年5月まで続く。
・4回接種:当初悪かったが7か月程度で優位になり2023年5月まで続く。


◆おわりに

ということで、私のデータ抽出・グラフ化が間違ってるのではなかろうか、もしくは何か見落としがあるのだろうか。と不安になる内容です。

特に、若者(18-39歳)の4回目、高齢者(70-79歳)の2,3回目については大きく懸念されるべきデータであるように思えます。

◇◇◇

ただ、元データは2023年8月25日公開らしく、それほど新しいものではありません。結構大騒ぎされるようなデータに思えますがそうなってないので、何らかの妥当な解釈がされている可能性はありますね。

つまり、今回のデータはバイアスを排除出来ていないということです。

たとえば、『接種開始時は絶対数が少なく属性の偏りも懸念されるためデータの信頼性は低い』とか。その他いろいろ。

慎重な分析が求められます。

そのあたりについてONSから説明がされているっぽいですが、長くなりましたので次回の記事で取り上げようと思います。

◇◇◇

ただ、そのようなバイアスを理由にしたとしても、かなりの差や怪しげな傾向が出ているように私には思えるんですけどね。

興味のある方は元データを確認してみてください。
そして、私の間違いに気付いたら指摘していただけるとありがたいです。


[2024.01.10 追記]

続編記事を書きました。
4回目接種が高リスクなことはそれなりに理由がありそうです。
よろしければどうぞ。


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