[未公開物件あります]をアピールする不動産屋はあまりよくない不動産屋さんです。

不動産屋の「あなただけにお教えする未公開物件、非公開物件があります。ぜひ弊社に足をお運びください」というフレーズ、聞いたことがある人も多いのではないだろうか?

これって本当なの?と思っている人や、これから不動産屋を探そうとしている人に向けた記事を書こうと思う。

初めに結論を書く。

未公開物件自体は存在するが「未公開で掘り出し物の安くていい物件」ではなく、いろいろな理由から「単に未公開」なだけで、安かったりいい物件である保証はない。

そんな物件をアピールしてくる不動産屋は、「特別感を演出」して「貴方を騙すつもり」で「事務所にさえ来させれば勝ち」と思っている可能性が高いので、そんな不動産屋にはいかない方がいい。

以降で、この結論に至る理由を解説する。

未公開物件ってなんで発生するの?

未公開物件を説明する前に、前提となる不動産仲介の仕組みを説明しよう。

不動産屋は「不動産の売買」に関する仲介を行う業界である。「家を買いたい・借りたい」という人と、「家を売りたい・貸したい」という人をマッチングさせて手数料をいただくお仕事である。

この、家を売りたい、買いたい人を効率よく探すために、「Webなどの公告に載せる」物件が公開物件であり、それがなされていないのが非公開物件である。

原則、家を売りたい人は良い条件で売りたいので、「公告してたくさんの人に目が通るようにする」ことが多く、世のほどんどの物件が公開物件である。

とはいえ、以下の需要から未公開物件というものも存在する。

未公開物件パターン1.家を売りたい人が公告を拒否する

公告を出すかどうかは、家を売りたい人が決めることができる。

そのため、家を売りたい人が「絶対に公告を出したくない!」と決めてしまえば非公開物件が成立する。

  • 絶対に家を売るつもりではなく、好条件だったら売りたいだけなので、広告経由で近所の人にバレて噂されたくない。

  • 家を売る金額を周囲の人間にばれたくない。

  • 事故物件なので、公開して「事故物件であること」を告知したら売れなくなるから。(もちろん未公開物件でも重要事項説明での説明義務があるが)

こういう事情なので、未公開物件は掘り出し物の安くて良い物件なわけではない。
もちろん、公告に出していない分、買い手が付きにくく、多少の値引き交渉は通用することが多い。

それでも、「貴方だけにお教えする特別な物件」ではない。

未公開物件パターン2.不動産都合

不動産営業は「買い手も売り手も自社で探す」両手と言われる状態を目指している。

不動産仲介の売上は「売り手仲介の3%」と「買い手仲介の3%」までと法律で決まっており、買い手を他社仲介にすると売り上げの半分を持ってかれてしまう。

不動産営業はインセンティブ15%くらいで働いている人も多い。
つまり、両手なら月収が90万円増、片手だと45万円増
(フルコミのインセンティブ60%だと、180万円か、360万円の差)

同じ仕事なら両手じゃなきゃ嫌じゃん?

そのため、「広告を出す前に自分だけが買主を探せる状況にしちゃおう」と不動産営業は考えて、家を売りたい人を騙して非公開にさせてしてしまうのだ。

詳しいことは省くが、大家家主を丸め込んでるパターンやレインズ登録期限前や広告出稿前に売り手を探しきるパターンなどがある。

この場合、120%不動産屋の都合。

買い手からしてみれば「貴方だけに特別な物件」でもない、むしろ「割高で条件の悪い物件を無理やり紹介されている」ことも少なくない。

これを「貴方だけにお教えする特別な物件」と公告するのはいかがだろうか?

未公開物件パターン3.建築確認取得前

法律で建築確認取得前物件は公告をしてはいけないし、売買契約を結んでもいけないと決まっている。

簡単に言い換えると「どんな物件か確定していない状態だと、あとで思ってたのと違うってなって買い手が損しちゃうから、そういうことが起きないように法律である程度間取りとか決まった物件じゃなきゃ公告しちゃダメ!」ということである。

公告はできないが、「未公開物件として紹介はできるのでしちゃう」というのがパターン3だ。

とはいえ、なぜか法律上、建築確認取得前でも賃貸契約を結ぶことなら許されている。また、自ら賃借というパターンでは広告も自由となっている。

そのため、非公開物件を紹介する不動産屋が存在する。

もちろん法律で規制されていない条件を満たす物件であはあるので「非公開物件営業をしている不動産屋はすべて悪」とは言わないが、「貴方だけにお教えする特別な物件」と言い換えるのは悪だと思う。

(ちゃんと説明すべきである)

なんでそんな騙すようなことするの?

これは会社にもよるだろうが、「一度不動産会社まで足を運ばせた顧客の契約率」というのはとても高い。

筆者の見ている会社さんたちは成約率が70%が平均値くらいである。

普通に生きている人間が最もお金を使うと言われている住居。とってもお金が動く業界だが、仲介会社の「相見積もり」「セカンドオピニオン」「比較検討」をするユーザがあまりいない業界となってしまっている。

そのため、「ネットに美辞麗句を並べ、来店さえさせればあとはナントにでもなる」という悪い考えを持った品質の悪い会社があり、だますようなことを言っているのだ。

まとめ

  • 未公開物件は存在する。

  • でも未公開物件が「物件探ししている顧客にとって安くて優れた物件」であることは少ない。

  • 不動産の都合で存在していることも多数。

  • そんな物件を「貴方だけに紹介する特別な物件」と紹介してくる不動産はヤベェので避けた方がいい

と思うのが筆者の意見である。(あくまで筆者の意見だヨ)

不動産屋に怒られそうな記事になっちゃったので最後にフォローを入れておいた。これで安心!

今回の私の記事を読んだ方は、そんな不動産のうわべの言葉に騙されないように注意してほしい。そしてそれが不動産業界の正常化につながれば幸いである。

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