非IT企業のDX専属エンジニアのやらかし紹介:オーナーシップの欠如編

筆者がやらかした内容を恥ずかしげもなく公開する。

オーナーシップって何?

個人が仕事に向き合う時の姿勢や関係性を表す言葉。個人が自分のミッションに対し「当事者意識をもって主体的に取り組む姿勢」である。

「そんな話は聞いていない(からやっていない)」「自分の担当ではない」「問題が起きても知らない。定時なので帰る」

みたいな現場がオーナーシップが持てていない職場というわけだ。

今回は筆者の仕事の進め方が原因で、オーナーシップが欠如する現場を作り上げ、現場の皆様の負担を増やし各方面にご迷惑をかけてしまったので、もう二度とこういうことが起こらないようにと自戒の意を込め記事にする。

DX業務における弊社の体制

筆者が属する会社は、DX業務を「現場の人間」+「専用のDX部門の人間」という体制で進めている。

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これは、「通常業務で忙しい現場の、DX業務の負担と、ITなどの非専門分野の学習コストを減らし、通常の業務をおろそかにせずDXを完遂すること」、「第三者目線で客観的にDXを判断すること」、「DXのノウハウが一つのチームに必ず蓄積するようにし、並行展開をしやすくする」などの複数の狙いがある。

デメリットとして、「現場を実体験していないDXチームが、現場不理解のままDXが進めてしまうリスク」などもありうる。

今回はこのデメリットを全力で踏み抜いた形になる。

やらかし案件の概要

会社公認noteでないので詳細は控えるが「AI的なシステムを入れて省人化を図ろう」というありがちなDXである。

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現場の部長から、DXとして省人化がしたいと依頼があり、それにお答えして筆者のチームで「メーカ選定、メーカとのやり取り」「PoCシナリオと評価軸」「今後の投資回収計画案」などを支援し、PoCをやろう!これで成果が出たら本採用だ!

と合意を取り、PoCが始まった。

PoCの結果:1週間時点で既に想定よりめちゃくちゃ数字が悪い

PoCの評価用ダッシュボードをGoogle DataPortalで組んでおり、1週間時点でそのシステムの効果測定をしてみた。


すると、数字がめちゃくちゃ悪い。
というか、2回しか利用されていないからそもそも測定できるレベルじゃない!


という事実が判明した。

何が起きたの?

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緊急で部長にお話を聞いたところ、以下のことが判明した。

課長からDXのシステムを使うようにと案内はあったが、
・忙しくて新しい事を触るどころではなかった。
・ITに触りたくなくて後回しにしていた。
・こんなシステムより私の作業の方が優れている。
という現場の声があり、そもそも使われていないということが分かった。

また、とある課長に至っては利用指示すらしていないということが分かった。

どうしてそんなことになったの?

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筆者(+DXシステムのベンダー)は操作説明会などを開き、簡易マニュアルの作成し、現場でDXシステムを利用できるようにした。
逆に言うと筆者はそこまでしかしなかった。

現場の業務量調整や、担当間の利活用調整は部長さんたちが「当然やってくれる」と思っていたからだ。

一方、部長さんも「初めてのDX業務。DXチームが手助けしてくれて「あとは結果を待つだけ」と言ってくれた。結果をまとう!」と考え、現場への細かい指示をしていなかったのだ。

課長さんたちは、ほぼDX案件の打ち合わせに参加せず、”利用段階”で話を聞いた。明確なKPI等を指示されていなかったため、”筆者からの利用マニュアルのメールなどを転送しただけ”で終わりにしていた。

担当に至っては、何も背景の説明がないまま「DXシステム使え」と指示が来たので「私の仕事ではない余計な仕事が増えた」と感じたようだ。また、”省人化”という言葉が独り歩きし、DXに不快感を覚えていた担当もいるようだ。

こういった「言葉に出さなかった思考のすれ違い」で今回のミスは発生した。

問題発生後どうしたか?

ステークホルダマネジメントを行い、人物関係図、各々の役割を明確化した体系図を記載し、全体に配布。最低限課長さんたちまでに案件目的やKPIを話し共有した。

また、部長さんに頼んで、「各担当でDXシステムをいい感じに使いこなしたら今期評価で追加ボーナス」という確約をしてもらい、それを各担当者に案内してもらった(あいまいでスマン。詳細書くとバレるので)

何が悪かったか

ステークホルダマネジメントに失敗している。というより、ステークホルダマネジメントをしていない。

そのため、関係者が「役割は何か」「何をすべき責任があるのか」がふわふわした状態で案件が始まってしまい、オーナーシップが欠如した「俺の担当じゃないから使わない」状態となってしまったのだ。

反省内容

PMBOKにもあるように、ステークホルダーマネジメントはプロジェクトマネジメントにおける重要な一項目だ。


それをごっそりまとめてやらなかったら当然こういう問題が起きる。

「実践的だから効率化され型として残っている」
筆者の好きな「民谷巌鉄斎」もそう言っていた。

まずはプロジェクトを始める際、型に則り必要なところを実施。
基本だが忘れてはいけない重要なことだと再認識させられた。


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