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ゲームプランナー入門講座#4-企画書の作り方実践編②

前回はマンダラートのテーマ出しに偏りがあるところまでやりました。

今回は偏りをなくして、「企画書を作るための素材」までをやっていきます。
ではさっそやっていきましょう。
マンダラートのテーマを見ると6個がストーリーに関係するモノとなっています。

ウマ娘マンダラート3

ストーリーは6個もあるので一つにまとめます。
「ドラマ・絆・ロマン」に一括にしました。
この中にはホースマンや奇跡などのも話も含みます。
「血統」「育成」は競馬にはなくてはないものなのでこちらは残ります。

残りのテーマは5個となります。
他にも競馬で重要な要素を出していきます。
「レース」「競馬場」「名実況」「騎手」「馬券」「馬主」「たれれば」などが出てきます。

目的を達成するために必要なものを残す

ここでそもそもこのゲームは何をするのか?
もともとの企画を考え始めたスタート地点に立ち戻ります。
競走馬を擬人化して「史実を基に競走馬視点でのストーリーを語る」です。
なのでここに当てはまらないものは外しましょう。

一度広げた後は収縮して行く

まずは簡単に外せそうなものから考えていきます。
「馬券」は消せそうです。
とはいっても、馬券が外れたらやじが飛んできます。
なので負けた馬にヤジを飛ばすシーンを入れてもいいかもしれません。
ここでは一旦外しますが、ストーリーとしては使えそうなので、メモしておきましょう。

良いアイディアでも目的を達成できなければ採用しない

このように企画を考える段階で様々なアイディアが出てきます。
良いアイディアだけど今回の企画意図に合わないものは
無理に企画に入れずに、ひとまず脇におきましょう。
自分で思いついた良いアイディアを外すのはなかなか難しいことなのですが、
目的を達成できなければ本末転倒になります。
ゲーム制作時の一つのネタや別企画に使えるかもしれないので
必ずメモをしておきましょう。

その他も検討していきます。
「馬主」は所有者のことなので、人間に当てはめれば両親?
なんか違うな、養子縁組関係?もしくは寮母とかかな?
これも今回の企画に組み込むのは難しそうだけど、考えておかないといけないもの。
世界観設定には必要なものなので、企画が通ってプロジェクトが始まったときに、
最初に検討しましょう。
これもメモしておきます。

競馬や勝負事につきものの「タラレバ」
もし出走していたら、もし出遅れなければ、もし雨が降らなければどうなっていたのか?
と妄想をふくらませるのもファン心理です。
なので「IF」を追加で入れます。

このように検討を繰り返しながらテーマを絞って残ったのが以下の8つのテーマ
「レース」「競馬場」「名実況」「騎手」「ドラマ・絆・ロマン」「IF」「血統」「育成」
これを元にマンダラートをもう一度作成していきます。

新ウマ娘マンダラート81マス

作り直したものが、こちらです。

新ウマ娘マンダラート 3b

これで「タイトル+3行見出し」に持っていくベースができました。

機種とサービス形態を考える

このときに考えておきたいのが、どの機種でどのようなサービス形態で出すのか?
機種は「コンシューマー」なのか「スマホ」もしくは「ブラウザ向け」なのか?
サービス形態は「買い切り」「月額」「基本無料(アイテム課金)」「ハイパーカジュアルゲーム(広告収入)」などを検討します。

ゲームサイクルを元にタイトル+3行見出しを検討する

今回はウマ娘が題材なので、スマホ・基本無料(アイテム課金)で考えていきます。
競馬の題材が集まり、スマホでガチャによる課金となりました。
ここで意識してほしいのが、ゲームのサイクルを意識することです。
スマホのガチャ課金には以下の3つの項目がほぼ必須となります。

①ガチャ
②育成
③バトル

ガチャでキャラを入手し育成してバトルする。
勝てばさらに強いところに挑戦する。
負ければさらに育成もしくはガチャでさらに強いキャラを入手する。

基本的にはこの流れが今のスマホアプリのサイクルとなります。
これを意識して考えていきます。

ガチャでキャラを獲得するのは競馬でいうところの種付けに該当します。
種牡馬をガチャにして、配合を考えさせる?
配合するときに検討することは?
インブリード(近親交配)やニックス(相性)を考えて種牡馬を選ぶ。
この部分はゲームの仕組みとして入れたい。
インブリードは5代血統で同じ馬がいる場合にインブリードという。
インブリードによって産駒の傾向を掴むことができる。

ゲームの目的を達成できないものは入れない

そもそも擬人化をするので種付けの部分は不要
仔馬が生まれた状態からのスタートになる。
種牡馬をガチャ要素にするのは厳しそう。

他にガチャで手に入れるものにできそうなのがある?
騎手は行けそう。
一度手に入れたらずっと騎乗依頼ができるようにする?
なら騎乗回数がある?うーんなんか違う気がする
なんで違う気がするのか?
今回は「擬人化した馬」がテーマだから
馬にフォーカスしたほうがいい。

良いアイディアが浮かばないときは無理に出さない

「種付けのガチャ」もだめ、「騎手のガチャ」もだめ。
となると「擬人化した馬」自体をガチャの対象としたほうが良さそう。
ガチャから出てくる馬を育成で強くしてレースに勝つ。
ガチャから出てくる馬だけで、ガチャが回るかな・・
配合は外したくないしこれを考えるのが競馬ゲームの楽しみだったりする。
そこをなくしたくはない。
うーん、いいアイディアが浮かばない。

ひとまず育成を考えよう。
育成は馬の能力を引き出すための調教。
坂路、ウッドチップ、芝、ダート、プールなどがある。
これをそのまま使う?
競馬を知っている人ならどれが何に効くのかイメージできるけど
競馬知らない人はイメージがわかないと思う。
そもそもターゲットはがっつりと競馬好きない人?
ここでも発想のスタート地点であり目的でもある
競走馬を擬人化して「史実を基に競走馬視点でのストーリーを語る」を考えると、
必ずしも競馬ファンだけとは限らない。
「擬人化(キャラ)」で興味を持ってくれる新規の人がいるはずで、そこをフォローしないと行けない。
だから直感的にわかりやすくしたほうが良い。

調教の効果をまとめると

坂路:パワー
芝:スピード
ダート:スタミナ
ウッドチップ:スピード・スタミナ
プール:気分転換、足元に負荷をかけずに心肺機能の向上

ここであることに気づきます。
配合のインブリードもこのパワーやスピードなどに影響があります。
なので、配合の要素を育成に入れればいいじゃん。
馬自体に上がる能力が決まっていて、どう組み合わせれば強い馬ができるのか?
試行錯誤を楽しむ、馬はガチャから入手する

しっかり考えていれば、どこかで閃く瞬間が来る

こんなふうにいろいろと考えていけばピンッ!と来るときがあります。
こんな感じでバトル(レース)も考えていきます。

このときに大事なのは「目的」とあっているか?
アイディアが出たときは必ず「目的」を達成するためのアイディアになっているか?
を意識することです。
今回何度も行っておりますが、それほど重要なことで誰もが陥りやすい罠だからです。
ここが違ってくると「一つ一つは面白い」けど、「全体で見るとちぐはぐ感」がある企画となります。

でこれを元にタイトル+3行見出しにまとめると以下のようになります。

企画の考え方実践編②.001

手法を達成するための手法を考える

さらに各手法を達成するために必要な手法を考えていきます。
具体的に説明すると

目的「ウマ娘を育成してレースで勝つ」ために
手法「カードで育成方針を決める」を行う必要がある
さらに「カードで育成方針を決める」を達成するためにどんな手法が必要なのか?考えていきます。
もともとは「手法」であった「カードで育成方針を決める」が「目的」になるということです。

これをそれぞれの手法で行うと下記のようになります。

企画の考え方実践編②.002

これで「企画書を作るための素材」が出来上がりました。
今回はここまでとなります。
次回は企画の構成についてお伝えします。

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