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夏の終わりを知らせるもの

ああ、今年の夏も終わるんだ、、と、夏大好き女の私が、毎年さみしくなる最大の一つの出来事が高円寺の阿波踊りである。

数年前からは8月末の週末の開催にかわったけれど、昔は確か27.28日とか日にちが決まっていた。

ほぼ地元なので、阿波踊りにはいくつも思い出があり、いろんなことをぼんやり思い出すのも、毎年恒例のこの頃。

なんとなくせつなくなるのは、みにいかなかった時だけで。
つまり、今年も諸事情により行けなかったのだ。

なので私は今せつない。

高円寺には、大切な友達と、ハタチの頃からとてもお世話になったお店の店長がいる。
みんなとても濃い時代を共に過ごした濃い仲である。

それから高円寺のみんなとも少し離れて数年後、結婚し子供もできて、息子がまだ小さかった頃は、歩けないほど大混雑の中を、小さな手をぎゅっとにぎって、ひっぱってみにいったものだった。

阿波踊りの通りに面したところにあったその店長のお店の店先でいつも、店主の家族と共にビールや美味しいものをいただきながら、みんなでワイワイ盛り上がっていた夏が何回かあった。

数年前、久しぶりに、小さく縮小して引越したお店をのぞいたら、昔とは違ってちょっとしぼんでしまったような店長が静かに奥に座っていた。
そしてかなしいことを聞かされてしまい、なぜかしばらくしてから話してるうちに、私は涙がぽろぽろこぼれてしまった。

店長のご主人、みんなにはミスターという愛称でよばれていた人が亡くなっていた。それも2年も前に。

ミスターの思い出もたくさんあるけれど
煙草とコーヒーが大好きだったミスター。

私の話しやバイトの若い女の子のたわいない話が大好きで、うんうんとしずかに聞いてくれていたミスター。

そんな夫をなくした悲しみの中からまだ抜けられない店長が、ミスターがいなくなってから、阿波踊りはみないの。
と言っていた。
その日は店のシャッターも早々閉めちゃうのだと。

今年も店長は早々シャッターを閉め、阿波踊りの熱狂の音色が聞こえないように、
部屋にいるのかな、、

とかぼんやり思いながら、今年の夏ももうすぐ終わっていく。

またいつか、店長もいっしょにみんなでワイワイ声を出して、阿波踊りみれるといいな

夏の終わりはやっぱりせつない

#エッセイ #平成最後の夏

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