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「最愛」妄想ストーリー

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TBSドラマ「最愛」からイメージを膨らませて書いたお話です。
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あの日の背中を追いかけて

あの日の背中を追いかけて

はぁ…はぁ…息が苦しくて足が重い。
もう少し、あともう少しだ。

中継所で大きく手を振る次の走者が見えてきた。
最後の力を振り絞り、中継所の手前ギリギリで一人追い抜く。
次の走者に襷を渡し、そのまま倒れ込み腕時計を確認した。

「やった!区間新記録だ!」

喜んだのも束の間…
俺はまだ走っていた。

遠くに背中が見える。
必死に追いかけるけどその距離は縮まらない。

フラフラともつれそうになる足で

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始まりの雨

始まりの雨

彼女と初めて会ったのは先輩に誘われて行った飲み会の席だった。

就職に伴って上京して5年。
警察官になって無我夢中の最初の数年、そして仕事に少し余裕が出てきて都会での生活を楽しむ余裕も出てきた今日この頃。

本当は今日もめんどくさいから…と断りたかったけど、新人の頃から世話になっている先輩に
「頼む!土曜日が非番なのはお前だけだから…。
ただいてくれるだけでいいから!」と頼まれて仕方なく顔を出すこ

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瞳の奥に見えるもの

瞳の奥に見えるもの

彼と初めて会ったのは友達に誘われて行った飲み会の席だった。

仕事の忙しさから元カレと徐々にすれ違って別れて1年。1人の週末、1人で食べるご飯にも慣れて「こんな生活も気楽でいいかなぁ」と思い始めた今日この頃。
本当は誘われた飲み会もめんどくさいから…と断るつもりだったけど、学生時代からの友人に「お願い!誘った子が急に仕事で来れなくなって…
ただいてくれるだけでいいから!」と頼まれて仕方なく顔を出す

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