なぜ救いようのないクズな先輩が愛されているのか?

ぼくが働いている歌舞伎町には色々な人がいる。
普通の昼の仕事で働くことができず、最終的に行き着いた職場が歌舞伎町という人も少なくない。いわば「雇用の最終受け口」ともいえるこの街には、それはそれは変わった人がいる。

前働いていたお店に、いわゆる世間一般的に「クズ」と称される先輩がいた。

LINEが使えないホスト

彼はホストなのにラインが使えない。全ての携帯キャリアで金融事故起こしているため、電話番号がないからだ。なので普段はSNSのDMで連絡を取るのだが、一時期はスマホがなくて3DSで連絡を取っていた。

お金が本当になくて、毎日3,000円を店から前借りして、それで生活をしている。

彼はめちゃくちゃ変わっていて、例えば源氏名が実のお兄ちゃんの名前を使っている点だったり、「メイクポーチだ」と言い張ってるものがビニール袋にティッシュのゴミが山積みになっていたり。

お店の内勤さんも「20年以上歌舞伎町にいるけど、彼は3本の指に入る"ヤバイ奴だ"」とも言っていた。

もちろん勤怠も悪いのだが、仕事が終わる1時頃に出勤して掃除だけしにきたりする。1時に来た所で罰金の金額も変わらないし(水商売は遅刻欠勤に罰金がある)、給料も貰えないのにだ。

以前、内勤さんにプロデュースしてもらっているTikTokがグループで一番バズって表彰式に呼ばれたものの、それを寝バックして、その翌日に髪の毛を派手に染めてきたりする。

クズでも愛される理由

そんなやばくてクズな先輩だけど、お店の人からは愛されている。その秘訣はとにかく人が良い。

彼は入店してから数年間、ホストとして売上を上げることはなかった。ずっと売上が0円なのだ。それでも、ホストを続けていれば思いも寄らないチャンスが来る。

彼の仲の良い後輩がお店を辞めて、その後輩のお客様が彼を指名してくれることになった。

ホスト的にはかなりお金を使ってくれる見込みがある、いわゆる太客の類のお客様だったのだが、「辞めた後輩に悪いから」という理由でなかなか営業をかけようとしない。周りの先輩は「そんなの関係ないんだから営業かけろ」と強く言うものの、彼は曲げない。彼は自分の売上よりも人間関係を大切にする。

自分も以前、営業終わりに彼から「俺1人だとモチベ保てないから一緒にがんばろ」と言われて一緒にキャッチにいったことがある。2月の寒い夜だった。

キャッチが終わったあと、ラーメンに行った。彼よりも自分の方が稼ぎはあった。それでも日払いの3,000円から1,000円するラーメンをご馳走してくれた。とにかく嬉しかったし、寒かった1日を温めてくれたこの日の思い出はずっと覚えているだろう。

毎日のように人に裏切られる、そんなことにも慣れてきた。寂しい人が集まる歌舞伎町にはクズでも愛されている、そんな変わった人がいる。

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