雨宿りの幸運

09/07/2023

展示が最終日。バイトがあってみんなにお疲れ言いにいけないなと思っていたけれど、暑すぎる(34度!)のと、お客さんが来なさすぎるので16時に閉めていいよ。とオーナーが言ったので、最後の1時間、見逃していたグラフィックデザインをみれました。よかった。
17時半になると完全に締め出され、Nadiも家族のもとへ行き、Nudiはノルウェーへ帰るために全てを車に詰め、ママとパパと帰っていきました。みんなにバイバイを言っていると、スコールにぶち当たってしまった。ので、雨宿りをすることに。

オランダ人友達、「どうせ濡れるなら土砂降りで濡れたい!」という訳わかめな理由でみんな雨が大きく降れば降るほど楽しそうにチャリを漕いで帰った。どうせシャワーするし。らしい。確かに。ただ、わたしはパソコンもあるし、絶対に濡れたくないプレゼントとかもあるのでやっぱり雨宿り。
学校の前で雨が通り過ぎるのを待っていると1人のマダムが雨宿りに参加。「雨は止むの?強まるの?」と聞かれ、レーダーを見せ、「やむよ、15分後に」と答える。そこから2人で雨宿りが始まった。

マダム「お腹空いてる?」
わたし「空いてる。。」
マ「トルティーヤあるけど食べる?」
わ「食べる」
から始まった会話は、
マ「このトルティーヤはパートナーが作ってくれた。最近は女が母の仕事をするのは間違っている、と説得することに成功した。だからご飯を作ってくれたり掃除をしてくれたり、色々分担しているおかげで今日もこうやって展示に来れたし、毎週末電車で好きな展示やワークショップを巡れるようになった。」
とのことを話してくれた。

わたしの話をしてたまたまGoogleマップを見せたら、待ってね、老眼鏡がないと、、、と取り出したのを見て、70歳を超えているということを知る。見た目も話し方も若いので全くそんなふうには見えない。せいぜい50代後半だと思った。そこからはライフレッスンが10個ほど続き、全部ためになる話だった。途中で生姜紅茶ももらった。

わたしの去年の卒業制作の話もして、どんなものを作ったのか、と写真を見せた。オレンジ色の大きいエプロンで、お茶会をするというものである。するとマダムがおもむろに
「もう一つだけ話してもいい?」
と息子さんのお話をしてくださった。息子さんはだいぶ前に23歳という若さで他界されたそうだ。そして9月に自分と息子さんをテーマにした展示を自然の真ん中にある素敵な美術館でやると教えてくれた。
話を聞く限り、なんかこのマダムにはわたしのこのお茶会エプロンが必要なのではないかと思った。ので
「もしよかったら、展示でわたしのエプロン着てみる?それで、お茶会開く?」
と提案してみた。すると、マダムは
「いいの?ほんとうにいいの?あなたの大事なものをわたしが使ってもいいの?」と。
わたしは、絶対にこの機会を逃してはいけない気がしていた。なんか、お互いにわかり合った気がしたから。マダムの息子さんへの想いと、わたしの作品に込めていた意図がとても近くて、おばあちゃんに出会ったみたいな、70歳のわたしに出会ったみたいな気持ちがした。

帰り道、人参とクッキーをおやつにくれた。
「あなたうさぎでしょ?だから人参。」と。
わたしがうさぎだってなんで知ってるんだろう、、、と思いながらもありがたくいただく。(3歳の時の将来の夢がウサギで、生まれ変わったらうさぎになりたいと小学生の時思ってた。今でも好きな動物はうさぎ)

なんかたくさんのものをもらった帰り道、何か恩返しができそうで嬉しい。
マダムとはオランダ語でテキストをしているので、わたしのオランダ語の師匠にもなりそうな予感。また、すぐに会おうねと言ってお別れしたので、またすぐお茶でも飲みにいきたい。
不思議だけど素敵な出会いができたので、いつもは得意じゃないスコールも今日ばかりは大感謝です。

つづく、、!

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