最近の記事
-
-
-
どこに
昔々10年以内の昔、美大ホールの裏の楽屋のような部屋に古い古いアップライトピアノが置いてあったのです。 調律は長いことされないまま放置され、チューナーで音を調べると全てのキーが少し高くて、鍵盤は軽くて黄色く、こんな綺麗な音のピアノが存在するのか。 警備員のおじいさんに鍵を借りては夜な夜な弾きに行き「あなたは顔パスだよ」と言って立ち入り禁止期間に内緒で入れてくれた時もあった。深夜2時だろうが3時だろうが早朝だろうが鍵を貸りに行き、今思えばこのピアノで遊んでいたのは本当に贅沢な時間だったと思う。 ピアノを習っていた頃の曲は何も弾けない、ひとつも覚えていない。 一番好きだった時間は先生が次はこの曲だからねとお手本で弾いてくれるのを隣で座って聴いている時。 楽譜を読んで弾くのが苦手で、いくつになっても人差し指を当ててドレミを数えていました。 あの頃は楽譜通り弾くのに必死で、それが苦痛、ピアノの音そのものを楽しむことが出来ていなかったように思う。 真面目にコツコツ練習していないし、ピアノが好きだなんて口が裂けても言えない訳で。 只々音を鳴らし戯れ、耳を澄ませ それが楽しいくて好きなのだけど…それでもいいでしょうか? 「うん、いいよ!」 自分を許せたのは楽譜を置かずにこのピアノを弾いた時。 それが始まり始まり、
-
-
-
-
-